沖縄|上昇が続く沖縄県の賃料動向
仲田哲善オーナー

7月におきぎん経済研究所(沖縄県那覇市)が発表した「おきぎん賃料動向ネットワーク調査(2024年)」によると、2024年度の貸家着工戸数は県全体で5340戸で新設住宅の53・7%を占め、20年度以来の50%超となりました。入居稼働率は全地域の平均で98・4%と極めて高く、住宅や事務所、店舗の賃料も前年に続き上昇傾向が鮮明です。背景には、観光需要の回復や移住者増加といった人口動態の変化などがあります。
また中古物件の賃料も今後数年は上昇基調が続くでしょう。新築供給は一部地域に偏り、需給は引き締まったままで、高稼働が物件価値を押し上げています。このような情勢下で、建築資材・人件費高騰による新築コスト上昇などもあり、安定した賃貸経営のために家主は賃料を適正に上げていく(上げざるを得ない)局面を迎えていると考えます。
ただし「賃料を上げても入居が決まる」という単純な発想は禁物です。エリアごとの相場やターゲット層の動きを見極め、適正な賃料を設定し、物件の価値を向上させることが、長期安定経営の鍵になると思います。人口減少や資材価格の高止まりといったリスクを冷静に見据え、中長期的な市場構造の変化を踏まえた賃貸経営を行うことこそ、家主に求められているのではないでしょうか。
(2025年11月号掲載)