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<<入居者との思い出>>
社会的弱者に寄り添う父母の意思継ぎ 家主として入居者の生活をサポート
父親から母親が相続したアパートの管理を任されている太田覚オーナー(群馬県太田市)。同物件では、障がい者や生活保護受給者を積極的に受け入れている。
「母は社会的に弱い立場にある人に心を寄せる優しい人で、自分が相続で兼業家主になる前から『福祉アパートを運営したい』と言っていました。その影響を受けたのか、父も社会的弱者といわれる人の入居を受け入れていました」と太田オーナーは話す。
太田覚オーナー(群馬県太田市)

[プロフィール]
群馬県太田市出身。2008年に母親名義のアパート2棟の管理を一任され、その物件を担保に不動産投資を開始。現在アパート4棟(うち2棟は母親所有)、戸建て8棟、区分マンション1戸の計40戸と駐車場3カ所を自身が設立した法人で所有・自主管理している。
- ▲アパート外観
- ▲車いす置き場
太田オーナーは入居者と「LINE」でつながっており、それぞれのニーズに合わせた対応をしている。
例えば、1年ほど前から入居している27歳の男性Aさん。自立して自由に暮らしたいというのが入居の動機だったが、手足がスムーズに動かせず、外では電動車いす、部屋の中は這って移動していた。
その様子を見た太田オーナーは、居室やトイレ、浴室に無償で手すりを設置。屋外には車いす置き場を作った。Aさんはとても喜んでくれたという。
60代前半の入居者男性Bさんは、精神疾患を持つ生活保護受給者。入居歴は7~8年ほどだ。ある日、Bさんから「冷蔵庫を新しくしたいので、古い冷蔵庫の撤去作業を手伝ってほしい」と頼まれた太田オーナー。2階の部屋にある古い冷蔵庫をBさんと一緒に運び出し、自身の軽トラックでBさんの親族宅に冷蔵庫を届けた。石材店を営むBさんの親族は太田オーナーの優しさに感激し、定価が数万円もする石でできた縁起物の置物を格安で譲ってくれた。
また統合失調症の入居者もおり被害妄想の症状があるので、夜中に電話がかかってくることも珍しくない。それでも必ず電話に出て応対しており、その入居者のために不審者への威嚇効果が期待できるダミーの防犯カメラも取り付けた。
同物件は築35年で家賃は3万円。太田オーナー自身がリフォームをしており、室内は新築同然のきれいさを保ち快適だ。そのため、15年以上住み続けている人もいるという。
「社会的弱者の人が最も必要としているのは、精神的支柱なのです。私が家主としてできる限りのことをしてその役割を担いたい。そうして入居者の支えになることが、ささやかな社会貢献になればと思っています」(太田オーナー)
(2025年 12月号掲載)








