補償対象に解体工事を新たに追加 -全国賃貸住宅修繕共済協同組合

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賃貸住宅修繕共済が制度拡充
補償対象に解体工事を新たに追加

 全国賃貸住宅修繕共済協同組合(東京都千代田区)は「賃貸住宅修繕共済」の補償対象に解体工事を加えることを発表した。

 賃貸住宅修繕共済は、主に賃貸住宅のオーナーが将来の大規模修繕費用に計画的に備えるための共済制度。2022年6月の開始当初は屋根・外壁の修繕工事が補償の対象だったが、23年12月には共用部全体へ補償範囲を拡大、24年12月には災害などによる滅失時の掛け金返金制度を導入。9月に発表した今回の制度改正では耐用年数を経過して劣化が進んだ場合や、維持費が立て替えコストを上回る場合、建物性能が市場ニーズに合わず利用価値が低下した場合など、修繕が不適当と判断される条件下で建物を解体した際に「解体共済金」が支払われる。

 また都市計画事業による収用や法令に基づく場合も対象となる。解体共済金は修繕共済金と同じ基準で算定され、掛け金はこれまでどおり経費計上が可能。新契約は25年11月1日発効分より適用され、過去の契約には自動的に改正内容が施行されるため、特別な手続きは不要だ。

 今回の制度改正により、賃貸オーナーは老朽化した賃貸物件への対応策をより柔軟に選ぶことができるようになる。「『物件を更地にして売却したい』『建物を解体して駐車場経営にシフトしたい』など、資産の有効活用のための選択肢が広がり、合理的な投資判断の一助となるでしょう」と同組合営業課の入倉彰啓主任は話す。そのほか、人件費などの高騰による解体工事の先送りや空き家の放置といった、社会問題の解決につながることも期待されるという。

 なお同共済は、全国で1000棟を超える賃貸住宅に利用され(25年9月22日時点)、大規模修繕工事に備えるための制度として支持を得ている。

(2026年 1月号掲載)

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