区分中心で年間家賃収入7450万円達成

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<<区分投資で資産形成>>

初恋がきっかけで日本に帰化
区分中心で年間家賃収入7450万円達成

不動産投資で資産を築く際、区分所有を中心とするのは難易度が高いと考える人が多い。それは、銀行が積算価格を参考にして担保評価すると、評価額が実際の購入額よりも低くなると思われているからだ。また空室対策が専有部に限られるため工夫がしにくいなどのデメリットもある。だが、西園寺雅紀オーナーは区分所有を中心とした経営で事業を成長させている。なぜ西園寺オーナーは財を築くことができたのか。

西園寺雅紀 オーナー(川崎市)

現在の経営状況
手残りは毎月250万円

 現在38歳の西園寺オーナー。中国人留学生として日本の大学で学び、後に日本に帰化した。大学卒業後は日本で就職し、その頃から現在にかけて区分マンションを中心に不動産を取得し続けてきた。現在はテナントビルを含む一棟もの4棟23戸と、区分28戸を所有している。

 相場価格で見た総資産は10億円以上、家賃収入は年間7450万円、キャッシュフローの手残りは年間約3000万円。借り入れは返済期間が15〜20年と短めであるにもかかわらず、返済比率が5割未満となっている。区分所有を中心に事業を展開しているが、健全な経営状況で資産を増やしているという。

 「毎月250万円の家賃収入が手元に残るほか、会社員としての収入もあります。夫婦と子ども2人の家族ですが、会社員の収入だけでは考えられないほどの余裕があり、十分な生活ができています」と西園寺オーナーは話す。

 「しっかり選べば区分はもうかる。競合も多くない」という西園寺オーナーは、銀行から事業の実績に対する評価を得て、今ある区分マンションを担保に入れつつ次の区分を購入するスタイルを貫いている。

▲初期に取得した東京都北区の区分マンションは築46年になる

失敗しないためのコツ
立地重視で築古を購入する

 西園寺オーナーが失敗しない理由は、目利き力とスピード感に尽きる。つまりは、とにかくお買い得な物件を見つけたら誰よりも早く購入判断を下すのだ。相場より安く売られている物件であれば高い利回りが得られ、次の物件を購入する際の担保評価も相対的に高くなる。

 お買い得な物件を発見するため、西園寺オーナーは購入エリアを自身が土地勘のあるJRの川崎駅周辺と横浜駅周辺、山手線の各駅から徒歩圏内に絞っている。

 「例えば、横浜市でいうとJRの桜木町駅や関内駅の周辺に良さそうな物件を見つけても、実際いくらだったら安いといえるのかは相場観を磨かないとわからない。相場を調べている間に『もうかる物件』は売れてしまうでしょう。そのため、最初から特定のエリアのみで探すようにして、買うかどうかの判断が瞬時にできるほうが効率的だと思っています」(西園寺オーナー)

 西園寺オーナーが狙うのは区分マンションの中でも築40~50年ほどの築古物件だ。築古は新築とは違い、それ以上に資産価値が下がる可能性は低く、下がるとしても少額であること、そもそも価格が安いことが魅力となる。

▲JR山手線上野駅から徒歩5分の立地の物件は築古でも値崩れしない

 そして、川崎駅、横浜駅、山手線沿線の各駅は、エリアとして利便性やブランド力が高く、値崩れが起きにくいと西園寺オーナーはみている。

 「中国人留学生としての目線で日本を見ていた時に、これらのエリアは最も借り手がつきやすいと感じていました。利便性にこだわる人は一定数いるので、どんなにボロボロな物件でも絶対に貸すことができると予測できたのです。つまり、立地が良ければリスクはないも同然です」(西園寺オーナー)

Column

融資の本審査前に契約締結 あわや違約金発生の危機

西園寺オーナーが唯一リスクを冒したのは2017年のこと。東京都千代田区の商業ビルを取得した時のことだ。区分マンション以外の不動産を購入するのは初めてだった。
「あまりに安く立地のいい商業ビルを見つけ、融資特約なしの契約を結んでしまったのです。融資の仮審査は通ったものの、万が一本審査に通らずに買えなかった場合は違約金が発生するので、所有する区分を売るしかなかった。少しひやひやしましたが、結果的に本審査も通って取得することができました。今は、あの時冒険して良かったと思っています」(西園寺オーナー)
 この商業ビルの取得により、年間家賃収入は1000万円程度から2000万円ほどに急成長した。

 

最速の買い付けは掲載後20分以内
高利回りの掘り出し物件狙う

 西園寺オーナーのもう一つのこだわりが、圧倒的なスピード感だ。スマートフォンを片手に「at home(アットホーム)」を頻繁にチェックするのが日々のルーティン。会社員としての仕事は在宅で行っているので、比較的自由に時間が使えるという。立地を限定して新着物件を2時間に1回はアプリでチェック。売主が値下げするのをじっくり待つケースもあるが、いい物件は即座に買い付けを入れることもあるという。買い付けまでの最速タイムはなんと物件情報がサイトにアップされてから20分以内だ。

 「世に出ていない物件を人から紹介してもらうという方法もあるのかもしれませんが、13年投資を続けてきて感じているのは正攻法が一番だということです。習慣化すれば時間と手間がかかっても苦になりませんし、掘り出し物は待てば必ず出てきますから」(西園寺オーナー)

 こうやって購入した区分マンションの中でも高い収益を上げている物件がある。山手線目黒駅から徒歩10分、1150万円で購入した家賃13万8000円の物件(表面利回り14・4%)や、横浜駅から徒歩6分、670万円で購入した家賃8万6900円の物件(同15・6%)、川崎駅から徒歩5分、1050万円で購入し250万円でリフォームした家賃13万2000円の物件(同12・2%)だ。このように、高い利回りを確保すれば手残りを増やすことができる。

▲横浜駅から徒歩6分の区分マンション。築45年で利回り15・6%を維持している

不動産を買い進めた経緯
所有物件を担保に買い増し

 西園寺オーナーは2006年に来日。09年に友人に不動産投資を勧められたのがこの道に進むことになったきっかけだった。売買価格や家賃、税制などの仕組みを勉強して、11年に最初の区分マンションを1300万円で取得。会社員の給料をためた自己資金600万円と親からの借り入れ700万円で現金で購入した。それ以降は、持っている区分を担保に入れながら会社員という属性を生かして借り入れを行い、不動産を増やしていった。

 12年に区分マンションを2戸購入して安定収入が得られるようになった。15年には1年の間に6戸の区分マンションを取得している。同年には合同会社をつくり、事業をより成長させていった。

 「相場以下の価格で売られる物件はきっと何らかの問題が潜んでいます。その問題に自分が対処できるのかどうか判断することが大切です。価格の安さでリスクを最小限に抑えているという点で、慎重な経営をしていると思います」と西園寺オーナーは自らの経営手法を語る。

 その後も年に2~3戸のペースで買い進めていった。25年には不動産投資のプレーヤーが増えて競争が激化している中にあっても、今まで以上にハイペースとなる区分マンション7戸と戸建て1戸を取得している。

区分マンションならではの苦労
変更決議に賛同を得る困難

 このように、西園寺オーナーは「物件を見極める勉強さえ惜しまなければ区分は失敗しにくい」と話す。だが、区分マンションならではの難しさはあるという。
例えば、専有部以外に駐車場、自動販売機、看板、携帯基地局などを取り入れて収入を増やし、修繕積立金の負担を軽くしようと思っても、多くの住人の賛同を得ることはなかなか難しいそうだ。

 「区分マンションでは、現状維持ができればいいと考える人も多く、新しい取り組みやリスクを取ることに消極的になる人が多いと感じます。自分はどうやってもっと収益を上げようかと考えることが好きなので、歯がゆい思いです」(西園寺オーナー)

 一方、自販機を設置して成功した所有物件もあるという。それでも、設置するための決議の際は反対派が多かった。だが、西園寺オーナーが組合の理事長であったことから多くの委任状を得ていたため、結果的に賛成多数となり設置が決まったという。

 導入後は常に売り切れ状態でマンションの運営にも好影響だった。結果的には、当初、自販機設置に反対していたほかの区分オーナーからも「騒音問題など思ったほど影響が出ていない」との声が寄せられたという。

 「専有部以外に工夫を施したい、マンションの資産価値を上げたいと思ったら、少しずつ実績を積んだり、ほかの人に知識を教えたりという地道な活動が必要になります。しかし、それでもすべての住人の支持を得るのは無理です。ベストを尽くして信頼してくれる人をつくればいい。区分マンションは、ほかの所有者と話し合って物事を決めなければならないことが多くあり、一棟ものよりは人間の感情に起因するトラブルが起きやすいと思います。そんなときでもめげずに改善し続けられる心の強さが、区分の経営には大切です」(西園寺オーナー)

将来の事業承継も見据える
目指すは家賃年収1億円

 今後の目標はずばり、家賃年収1億円だ。これは現時点から2550万円増となる目標額だが、このままのペースでいけば4年程度で達成できる見込みだという。
こうして築いた資産は、いずれは、西園寺オーナーの2人の子どもに、半分ずつ承継したいと考えている。

 「いずれ合同会社ではなく株式会社にして株式化や評価減なども検討しています。子どもはまだ小さいですが、65歳までに経営能力を引き継ぐことを見据え、50代後半から具体的な準備を進める予定です。それまでは、現在の経営方針で不動産を増やしていきながら、物件の内見やリフォーム中の現場に子どもを連れて行って感覚を磨かせたいと思います」(西園寺オーナー)

▲23年に新築した一棟もの。今後も買い進めていく方針だ

Column

日本に来たきっかけは映画のヒロインに抱いた恋心

 西園寺オーナーが日本を好きになったきっかけは14歳の時の淡い初恋だ。その相手はスクリーンの中の人だったという。香港の映画俳優ジャッキー・チェン氏主演の「WHO AM I(フーアムアイ)?」でヒロインを演じたミシェル・フェレ氏だ。彼女はフランス人の父と日本人の母を持つ大変な美人である。「その時の衝撃といったら…」と西園寺オーナーは遠くを見つめながら振り返る。
 この恋をきっかけに日本についての情報を集めた結果、西園寺青年は無類の日本アニメ好きに育った。最も好きな作品は「宇宙の騎士テッカマンブレード」だ。
 年頃になると西園寺オーナーは日本に留学したいと思うようになった。西園寺オーナーの家族は世界各国で活躍してきた一家で、祖父は英語の教授、祖母はピアニスト。父も英語の教師。それゆえ、留学に反対されることもなかったという。
「父や祖父には、彼らの知人もいるアメリカがいいのではと言われましたが、そこはかたくなに大好きな日本がいいと説得しました。父は『決めたのならそこで人生を切り開け!』と力強く送り出してくれて。母は少し寂しがっていましたね。帰化した時の両親の受け止め方も同じようなものでした」(西園寺オーナー)

(2026年3月号掲載)

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