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<<入居者との思い出>>
入居者と腹を据えて向き合い
家主としても成長できた問題物件
「あの入居者たちとの出会いが、私を家主として成長させてくれました」と当時を振り返るのは、稲見正人オーナーだ。
2021年初頭、稲見オーナーは三重県鈴鹿市に1棟6室の中古アパートを購入した。かなりお手頃感のある物件で、なぜ前の所有者が手放したのかわからなかったが、その理由は現地に行って判明した。低所得の入居者が多く、管理を怠っていた前オーナーとの関係性が悪化していたのだ。
稲見正人オーナー(三重県四日市市)

「入居者のうちAさん夫婦は生活保護受給者でした。私が物件清掃に行った際に会うと無理のある要求をされたこともあり、正直、あまり関わりたくないと思っていました」(稲見オーナー)。ところがその後、警察が介入するほどの入居者間トラブルが起きてしまう。稲見オーナーは「今までどおりの経営をしていたら駄目だ。入居者たちときちんと向き合おう」と覚悟を決めたという。
稲見オーナーは入居者に声をかけ、話を聞くことにした。すると20代の青年Bさんは父親の虐待から逃げてきたこと、リストラに遭っていたことがわかった。一緒に仕事探しもしたが、虐待による適応障害があり、面接もうまくいかない。稲見オーナーが市役所の福祉課まで同行して事情を話し、Bさんは生活保護を受給することになった。
60代後半の男性Cさんは、本人いわく大企業で定年まで勤めた人。入居者の中では生活水準は高そうに見えたが「お金を貸してくれないか」と頼まれるようになった。どうやら年金はわずかで、貯金も使い果たしてしまったらしい。結局、Cさんも稲見オーナーの後押しを受け、生活保護受給者になった。

▲23年と24年には物件の庭でバーベキューが行われた
入居者と向き合うと決意してからは、物件訪問時にはお菓子を持参し入居者に振る舞うようにした。また23年と24年にはバーベキューを開催。その際には、気難しい印象だったAさん夫婦もすっかり打ち解け、皆仲良く食卓を囲んだのだという。
「のちにこの物件を手放すと管理会社に告げた時には『稲見さん以外の人にオーナーは無理だ』と止められましたが『大丈夫ですよ。共用部を掃除してくれるようになるなど、入居者の意識がだいぶ変わりました。どんな家主にも管理しやすいように、建物の状態も整えましたから』と答えました。家主が入居者と真剣に向き合えば、入居者も応えてくれると教えられた4年間でした」(稲見オーナー)
[稲見正人オーナー プロフィール]
三重県鈴鹿市生まれ、四日市市育ち。2015年、不動産投資をスタート。名古屋市の区分マンション2戸と北海道のアパート4棟を現金購入したのを皮切りに、規模を拡大。現在、三重県内に戸建て2棟、アパート10棟、合計92戸を所有。
(2026年3月号掲載)






