<<Focus 〜 この人に聞く〜>>
設立70周年の節目に理事長就任
融資保証事業に加え賃貸経営支援に注力
一般財団法人住宅改良開発公社は、2025年12月に設立70周年を迎えた。その節目に理事長に就任したのが、石塚孝氏だ。同公社は独立行政法人住宅金融支援機構といった賃貸住宅向け融資が利用される場合などに行う融資保証事業や調査研究によって賃貸経営をサポートしてきた。石塚理事長に今後の展開について話を聞いた。
一般財団法人住宅改良開発公社(東京都千代田区)
石塚孝理事長

――70年の歴史がある公社の事業について、紹介してください。
当公社の最大の役割は、賃貸住宅経営を長期的に安定させるための金融支援と事業支援を行うことです。主な事業は、住宅金融支援機構の賃貸住宅建設・リフォーム融資に対する機関保証です。この保証により、オーナーは保証人を立てる必要がなく、長期固定金利による安定した資金調達が可能になります。現在までに1万件を超える保証実績があり、残高は1兆円を超えています。さらに、35年間の収支計画を重視し、無理のない事業計画づくりを一緒に考えることも私たちの重要な役割です。
――賃貸経営関連の情報提供も積極的です。
情報提供活動としては、オーナー向け情報誌「HARMONY(ハーモニー)」を年3回発行。25年末までに105号発行し、賃貸経営に関する有益な情報を提供しています。また「あしたの賃貸プロジェクト」という事業では、時代に合ったさまざまな事例の研究や地道な取り組みをしている人たちと交流。そこで得られた情報や知見を、シンポジウムという形で公開しています。毎年オンラインで開催しており、25年は約1600人に視聴登録をしていただきました。
――理事長に就任して、特に力を入れたいと考えていることは何ですか。
私は住宅を「国民生活を支える最も重要な社会インフラ」と考えています。住宅政策も、量から質へ、フローからストックへと大きく転換しています。その中で当公社は「質の高い住宅を社会に届け、次の世代へ引き継ぐ橋渡し役」として、活動したいと考えています。
――具体的には、どのようなことですか。
子育て対応住宅、省エネルギー住宅、高齢者対応住宅、そしてマンションの再生・改修など、これからの時代に求められる賃貸住宅づくりを金融面から後押しすることに力を入れていきます。また賃貸住宅が社会的な価値を生み出し、地域に貢献することをソーシャルバリューとして捉え、可視化する仕組みづくりに挑戦していきます。具体的には、イギリスでのソーシャルバリューの先行事例について現地で取り組みを調査し、日本の社会環境に適合した形での実装を目指します。この仕組みは、今後投資家からの資金調達や公的支援の獲得につなげるための適切な評価指標となるでしょう。
――公社の今後の目標について聞かせてください。
当公社の目標は、オーナーの皆さまと共に、長期的に安定した賃貸経営ができる市場を育てること、そして住宅を通じて地域と社会の価値を高めていくことです。金融支援だけでなく、情報提供や経営の伴走支援を通じて、オーナーの一生の事業パートナーであり続けたいと考えています。
(永井ゆかり)
1961年生まれ。東京大学卒業後、建設省(現・国土交通省)に入省。国交大臣官房調査官、長崎県副知事、一般社団法人不動産流通経営協会専務理事を歴任。2025年より現職。
(2026年3月号掲載)






