孤独死対応も自ら手と体を動かす賃貸経営

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大学時代から計24回の引っ越しを経験
孤独死対応も自ら動く賃貸経営

 東京都、千葉県、埼玉県と群馬県にアパート4棟21戸と二つの区分マンションを所有している渡邉正芳オーナー。築浅物件に始まり、築30~40年の物件を土地値で購入し、DIYに挑戦しながらリフォームして貸し出している。

渡邉正芳オーナー(茨城県筑西市)

 賃貸経営を開始したのは2020年のことだ。12年に購入した東京都内の自宅マンションのローンが支払い終わったと同時に、茨城県筑西市の実家近くに戸建てを購入したため、マンションを貸し出したことが始まり。

 当時43歳。「ですが、不動産自体には若い頃から興味があり、いつか所有したいと思っていました」と渡邉オーナーは言う。

 不動産への興味は大学入学以降の引っ越し回数に表れている。その数、実に24回。千葉県内の大学に通いながら、同県のほか、都内や埼玉県にも住んだ。

 「引っ越し先で感じたことを所有物件にも反映できていると思います」(渡邉オーナー)

 自分が賃貸物件に住んでいる時に「ここに住み続けるのは嫌だな」と感じた物件には共通点があったという。

 「例えば、ごみ置き場や階段といった共用部が汚いまま放置されていたり、廊下の電球が切れたままだったり。管理が行き届いておらず、誰がこの物件を見てくれているのかわからない点です」(渡邉オーナー)

 そういう物件は必ずと言っていいほど、騒音問題などの入居者トラブルが発生していた。そこで現在、管理会社は利用しているものの、自ら定期的に物件を訪問。清掃を行いながら、小さなものを含め不具合はないかチェックを行っている。

 また所属している「太田大家の会」の先輩家主らからDIYを習いつつ、軽微な修繕はすぐに自分で対応する。

DIYは勉強中だ

 「設備の充実よりも、しっかり管理が行き届き、家主が大事にしていることが伝わる物件づくりを意識しています」(渡邉オーナー)

物件で孤独死が発生 素早い対応が功を奏す

 基本的には満室でのオーナーチェンジ物件を購入してきたため、大きなトラブルのない賃貸経営を続けていた中、不動産が好きだというだけではやっていられないという体験をすることになった。それが、25年に起きた孤独死対応だった。

 孤独死が発生したのは、千葉県松戸市にある築38年、2K4戸の物件。前オーナーの時代から住んでいる生活保護受給者の高齢女性だった。

 「隣の住人から『もしかしたら亡くなっているのでは』と連絡が入り、駆け付けました」(渡邉オーナー)

 警察に連絡し、検死のために遺体を引き取ってもらった後、別居中の一人娘とやりとりし、現地で管理会社を含めた3者で面談する約束を取り付けた。娘も母親と同じく生活保護受給者であるため、原状回復や残置物撤去にかかる費用が捻出できない。相続放棄をしたいという申し出から、賃貸借契約の終了と残置物処理の確認を取った。

 その数日後、また隣の住人から連絡が入った。

 「孤独死があった部屋からエアコンの室外機の音がするというのです。誰も住んでいないのに、といぶかしく思いました。火事になっても危ないですから、会社員の仕事を早退して物件に駆け付けました」(渡邉オーナー)

Before

After 孤独死体験は精神的にこたえたものの新しい気付きもあった

 部屋を確認すると、鍵は開けっ放しでエアコンもつきっ放しという物騒な状態だった。ホームセンターで、材料を購入し、ドアノブの上をカバーしてロックをかけた。

 その後は原状回復に追われた。居室部分は、たばこのヤニもひどく、部屋の中にクモの巣が張っているような状態だった。いわゆる「セルフネグレクト」に近かったのだろう。150万円程度かかったものの、孤独死特約により100万円ほどカバーできたことでだいぶ救われたという。

 こうした経験を経て「何か起きてから対応するのではなく、孤独死は起きるものとして準備しておくことが必要だと認識できた」と渡邉オーナーは言う。

 物件巡回の折には、入居者にも声掛けをし世間話をする。独り身なのか、相続人はいるのかなど、ナイーブな内容ではあるが、ちょっとした会話の中から上手に情報を引き出すのだという。

 「今後も高齢者や生活保護受給者らを拒否せずに受け入れようと思っています。住まいを提供することは私にできる社会貢献の一つだと考えるからです。そのため、異変に早めに気づけ、なおかつ発生後に素早い対処ができる体制をとっていきたいと思います」(渡邉オーナー)

(2026年 4月号掲載)

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