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<永井ゆかりの刮目相待:2月号>
連載第101回 攻撃は最大の防御
守りに入ると資産は減る
「どんなに賃貸経営がうまくいっていても、資産運用では失敗している人が少なくありません」。先日、1万人の地主に会ったという一般社団法人不動産オーナー経営学院(名古屋市)の横山篤司代表理事のこの言葉にハッとした。
確かに、情報収集に余念がなく、セミナーにもよく参加し、時にはDIYも取り入れて、満室経営を誇るオーナーはこれまで何十人、いや100人以上見てきた。だが、いつも忙しく「時間がない」と動き回っていても、いざ相続が発生すると資産を減らすケースは少なくない。労働力を投入して不動産の収益性を高める努力をしても、「相続税」という大きな壁を乗り越えて資産を守ることは難しい。
だが一方で、しっかり資産を残している地主がいるのも事実だ。横山代表理事もその一人。横山代表理事は自身も名古屋駅前にビルを所有する地主の3代目で、家業に入った当初、会社清算の危機に陥るほどの経営状況だった。そこから15億円の借り入れをした後、完済し、いまや10億円の不動産収入を得るまでに事業を再建した。
そんな自身の経験から資産を増やす地主と資産を減らす地主の違いを分析。わかったことは、資産を増やす経営をしているかどうかによって大きな違いが生じるということだった。
資産を増やすためには、不動産経営に関わるさまざまな知識を身に付けることに加えて、任せられる人(事業者)を見つける知恵が重要だという。
不動産事業の強みを知る
土地を増やす地主の共通点は、味方になる事業者を上手にコントロールしていることだ。判断が早く、適材適所で仕事を任せることが大切だという。任せることにより、時間と心にゆとりができ、笑顔でいられるようになる。
一方、土地を減らす地主は、事業者を信頼できず、1人で何でもやろうとして、時間がなくイライラして疲れた顔になる。そうなると、一緒に仕事をしようと思う事業者が周りから減っていき、さらに自身の仕事が増えて大変になる。
「不動産経営は1人ではできません。多くの事業者を味方にしたチームをつくり、数値目標を明確にして行動し、可能性思考を持ってもうけることです」と横山代表理事は強調する。このような話になると「投資家になれということか」と思う人もいるかもしれない。だが、「投資で終わるのではなく、経営して、利益を増やすのです」と横山代表理事は説明する。
肝心なのは、利益をきちんと還元できるように、不動産を購入する。その後減価償却を上手に活用して節税し、税金還付も受けて、また新たに購入するということを繰り返すことだ。こうした攻めの活動が重要なのだという。不動産事業の強みを生かして不動産資産を増やせば、相続が発生して相続税を支払っても資産を減らさずに済む。
笑う門には福来たる。笑顔を心がけて明るい未来を創造できるチームをつくっていくことは、地主にとって大切だろう。
永井ゆかり

Profile:東京都生まれ。日本女子大学卒業後、「亀岡大郎取材班グループ」に入社。リフォーム業界向け新聞、ベンチャー企業向け雑誌などの記者を経て、2003年1月「週刊全国賃貸住宅新聞」の編集デスク就任。翌年取締役に就任。現在「地主と家主」編集長。著書に「生涯現役で稼ぐ!サラリーマン家主入門」(プレジデント社)がある。
(2026年 2月号掲載)






