<<人脈と世界が広がる馬主道>>
第1回:そもそも馬主活動とは
馬主となったことで馬に関わるさまざまな人たちとのつながりを得た。写真は1月に行われた尾張名古屋杯で勝利したカシマスウィープ号
馬主として参入しやすい地方競馬
競走馬は引退後も資産として価値あり
不動産オーナーとして長く賃貸経営をしてきた筆者が、本格的に取り組み始めた「馬」の世界。最初はただの趣味だったが、その世界を知れば知るほどに、競走馬の馬主活動は「不動産オーナーの価値観と非常に相性がいいビジネス」であると気が付いた。本連載では、そんな馬主活動と不動産経営の接点を深く掘り下げていく。
第1回となる今回は、そもそも「馬主活動とは何か」を、基本からわかりやすく説明していきたい。

▲馬主となったことで馬に関わるさまざまな人たちとのつながりを得た。写真は1月に行われた尾張名古屋杯で勝利したカシマスウィープ号
中央競馬と地方競馬
日本の競馬は大きく中央競馬と地方競馬に分かれる。
中央競馬は農林水産大臣の監督下で日本中央競馬会(JRA)が主催し、全国に10ある競馬場で開催される。馬主登録の条件が厳しく、レースのレベルも高い。一方、各都道府県が運営する地方競馬は門戸が広く、個人馬主が参入しやすくなっている。
不動産の再開発に例えると、中央競馬が「都心の一等地の再開発」、地方競馬が「地方の物件再生プロジェクト」のような構図である。どちらがいい・悪いではなく、役割が違う。地方で経験を積んで所有する馬が活躍すると、場合によっては中央競馬へ転籍してさらに実績を上げるケースもある。
このステップアップは不動産の「売却→住み替え→収益物件への展開」という流れにどこか似ていて、事業としての理解もしやすい。
馬主になるには登録が必要
意外に知られていないのが、馬主には登録が必要なことだ。その登録時には審査がある。中央競馬と地方競馬で条件は異なるが、基本的には「一定の資産」「安定収入」「反社会的勢力でないこと」など、経営者であればほぼ問題なくクリアできる。
特に地方競馬は馬主登録がしやすく、不動産オーナーとの親和性は高い。事業所得があり、確定申告をしている人であれば審査もスムーズだ。私は馬主登録をしたことで、北海道新ひだか町の生産牧場、調教師、厩務員、そしてほかの馬主仲間という「完全クローズドなコミュニティー」に一気につながることができた。これらの人たちとの関係は、不動産業界とはまた違う深い信頼の元に結ばれている。

馬はネットで買える時代へ
近年は競走馬の購入もオンライン化が進み、インターネット上で写真や歩様動画を見ながら入札まで完結できるようになった。その中でも「楽天競馬」などの競馬専門サイトではサラブレッド専門のオークションページが設けられており、定期的にネットオークションが開催される。スマートフォン一つで全国どこからでも馬主デビューができる時代になっている。

▲獲得賞金2000万円以上の活躍を見せた愛馬のグロリオーソ号
コロナで競馬はどう変わったか
実は競馬は、新型コロナウイルス下で追い風を受けた産業だ。その時期は無観客開催にもかかわらず売り上げは過去最高レベルを記録し、若年層ファンが急増した。結果として、賞金が上がり、馬主の収益構造も改善された。不動産でいえば「市場が成熟し、家賃が底上げされた状態」に近い。
地方競馬では特に賞金が増加傾向で、参入しやすい状況になっている。事業としても趣味としても、今は「非常にいい局面」だ。
馬は走るだけでは終わらない
一番面白いのは、馬は「引退してからが本番」という点だ。現役引退後に繁殖馬になれば、新しい命を生むことができる。その子馬の成績が良ければ、さらに価値は上がる。馬は単なる消耗品ではなく資産なのだ。
後の回で詳しく説明するが、馬は不動産と同じく「減価償却」「特別損失」「相続・贈与」という税務上のメリットが多数ある。これも不動産オーナーとの相性がいい理由の一つだ。

競馬は「文化×産業×人の縁」
馬の世界には「文化」と「産業」と「人の縁」が同時に存在する。これは不動産経営とも通じる世界観だ。事業としての面白さ、感動、仲間、経済合理性がそろっている。それゆえに、私は不動産オーナーにこそ馬主活動を強く勧めたい。
第2回では「不動産オーナーと馬の親和性」を、税金の仕組みも交えながらもっと深く掘り下げていく。

(2026年3月号掲載)






