<<著者インタビュー>>
地主が知っておくべき 幸せな相続と不動産売却
相続で取り返しのつかない事態になる前に
地主の「幸せな相続」実現のための知識とは
――同書を出版した動機を聞かせてください。
不動産売却は、売り方次第で数千万~数億円と価格が変わることがあり、知識の有無による差が大きいです。地主の不動産の相続に関しても、それぞれのその後の人生の豊かさや家族の関係など、お金には換え難いものも含め、知識による差が大きいと感じています。そのような知識も含め、相続への新たな「発想」や「着眼点」を伝えるために私のこれまでの経験が少しでも役に立てばと思い、本にしました。
――「幸せな相続」とはどのような状態を指しますか?
私が考える「幸せな相続」とは、現金や収入も十分にあり、分けやすく、家族全員が納得できるだけでなく「満足」でき「感謝」できる状態です。ただ、現実的には、誤った判断で「本来しなくてよかった苦労やストレス」を抱える人が多くいます。また、仲が悪くなかった家族の関係が悪化し、疎遠になることも。そのような相続は幸せとは言えないかと思います。
――地主だからこそ可能な相続課題への解決策は?
最大の強みは「売れる資産を持っていること」。適切なタイミングで適切な資産を高値で売却し、その資金でより利回りがよい収益物件や金融商品などに組み換えたとします。すると、現金も収入も増やしつつ、相続の際に分けやすくもなります。目の前の生活も豊かになりますし、相続する側ももらって嬉しい状態にすることができます。
――ご自身はなぜ「相続と不動産売却」に特化した事業を始めたのですか?
地主の相続案件は通常と異なり、「家族の納得」「円満」が求められ、不動産の価値だけでなく人間関係への配慮も不可欠です。さらに相場よりも高値で売却できることにとても喜んでいただけます。そこに意義を感じました。
――同書で一貫して伝えたいメッセージは何ですか?
売るべき資産を高く売ることで、残すべきものをより良い状態で残しやすくなるということ。残すものには、財産のほか、思い出や良好な関係も含まれます。高値売却によって得た現金は、資産の組み換えだけでなく、「プライスレスな投資」にもなり得ます。満場一致の〝満足な相続〟を実現するためには、早めに選択肢を整理し対応することが重要なのです。
著者プロフィール
平田明(ひらた・あきら)

不動産開発会社、不動産オークション運営会社を経て、2011年平田資産研究所を設立。2015年4月、相続不動産を高値かつ安全に売却できる不動産オークションを広めることを目指し、株式会社エスクロー・エージェント・ジャパンへ転籍。17年4月よりエスクロー・エージェント・ジャパン信託代表取締役。著書に「不動産を相場の3割増しで売る方法」(幻冬舎)がある。
地主が知っておくべき 幸せな相続と不動産売却

著者:平田明
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
価格:1760円(税込み)
概要
「本当にいい相続とは」を家族全員で考えるための一冊。相続で最も避けたい家族間トラブルを解決する効果的な方法の一つとして「適切なタイミングでの不動産売却」を提唱する。また不動産や相続の専門知識がなくても、わかりやすい図版や事例から体系的に理解できるような相続の実践ガイドとなっている。
(2025年9月号掲載)