Special Interview・青山財産ネットワークス:新たな社会貢献

相続事業継承

<<Special Interview>>

富裕層の行動が良い社会を生み出す
公益法人設立による新たな社会貢献

不動産オーナーや企業オーナーを対象に財産コンサルティング事業を展開する青山財産ネットワークス(東京都港区)は、2025年から公益法人設立支援サービスを始めた。不動産・金融資産を多く持つ富裕層に向けて、新たな社会貢献の手段としての公益法人設立およびその運営をサポートするものだ。同社の蓮見正純社長に、新サービスを始めるに至った経緯や、公益法人が果たす社会的意義、そして財団運営の実例などについて聞いた。

青山財産ネットワークス(東京都港区)
蓮見正純社長

他者に貢献することでこそ 本当の幸せを得られる

─今回、公益法人の設立支援サービスを始められた、そのきっかけは何だったのですか。

蓮見 まず一つは創業オーナーからの相談が増えていたことです。ずっと事業をされてそれなりの資産を築いて来られた方がある時「子どもにたくさんの資産を残すのは必ずしも良いことではない。良い結果が生まれない」と言われたのです。以前はどちらかといえば、ためたものは子どもにたくさん残しておこうという方がほとんどでした。それが、例えば奥さまや子どもに一定の資産は残すけれど、それ以外の分はどうしようかと。そこに「社会貢献」という話が出てきて、選択肢の一つとして「公益法人の設立」を案内するようになったのです。

─そういう相談が増えてきたのはいつ頃からですか。

蓮見 ここ5〜6年でしょうか。それから、これは当社がお世話させていただいた例ではありませんが、こんな話を聞きました。すでにお父さんの時代に公益法人をつくっていた方が「実は、父が生前につくってくれたこの公益財団が今、家族にとっても会社にとっても、とてもありがたい存在になっている」とおっしゃったのです。つまり、その財団が長年にわたって奨学金を出してこられた。それで海外から多くの人が日本で学び、そして国に戻って、役所や企業でそれなりの立場で活躍されている。そうした人たちとの人脈や信頼関係が、今になって会社の事業発展に少なからず寄与しているというわけなのです。

─社会貢献のためにつくった公益法人が、結果的に、家業である企業の発展にもつながっているということですね。

蓮見 そうなのです。受け継いだ息子さんも、この公益事業に対してすごく価値があると気付かれた。こういった声をよく聞くようになったのが、二つ目の理由です。

─つまり一つは「相続以外の財産の使い道」という視点、そして二つ目が公益事業を行うこと自体の価値ということですね。

蓮見 われわれとしては、ニーズがあるからこの公益法人設立サービスを始めたというよりは、公益事業に本当の価値があると考えました。多くの企業オーナーと話していると、どれだけお金をためて自分のために働いても、それだけでは満足感を得られないと。つまり、自己実現の経済だけでは本当に人を幸せにすることはできない。他者実現、すなわち他者に貢献することで本当の幸せを得られるということを多くのオーナーと話しながら学んできました。だから、こういう公益事業を行うことは、オーナーにとってもプラスになるのではないかと思って、われわれはそのお手伝いをしているのです。

公益法人とはどんなものか

「公益法人」とは、法律に基づき設立された一般社団法人、一般財団法人の中で、その事業が公益に資すると認定を受けた法人を指す。認定は行政庁に申請を行い、審査を経て内閣総理大臣または都道府県知事によって行われる。

 公益法人の中には、主に教育や医療・環境保護などの社会的に重要な分野での活動を行う法人が多い。また公益性が必要なため、特定の個人や団体が対象ではなく、社会全体の利益のために活動することが必要だ。

 その規模についても多様で、4000億円を超えるような大きな資産額の法人もある一方で、小規模の財団も多い。実際、公益法人の中で資産額が1億円未満の法人は全体の64.1%を占めており、資産額5億円未満で見ると公益法人全体の91.5%に上っている。

 

他者に貢献することでこそ  本当の幸せを得られます

Profile◉はすみ・まさずみ
1956年12月生まれ、岐阜県出身。80年慶応義塾大学商学部卒業。83年青山監査法人入所。91年に退所後、山田&パートナーズ会計事務所、三優監査法人を経て、2008年青山財産ネットワークス代表取締役社長就任(現任)。20年不動産特定共同事業者協議会会長に就く(25年5月退任)。21年青山ファミリーオフィスサービス代表取締役就任(現任)。

 

(2025年10月号掲載)
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