Feature ~不動産賃貸事業に取り組む法人

土地活用高齢者住宅・介護福祉施設

不動産賃貸事業の目的は社会問題の解決
アクティブシニア向けの賃貸住宅に注力

 オフィス機器などのリースを手がけるリコーリース(東京都港区)は、不動産賃貸事業を2017年ごろから積極的に展開する。都内を中心に1152戸の物件を保有しており、独自サービスの導入を進めている。特に高齢入居者向け賃貸に注力する同社の取り組みを紹介する。

リコーリース(東京都港区)
環境・不動産営業本部 中田和也副本部長(56)

 リコーリースは不動産賃貸事業の最終ゴールを不動産サービスの販売に置いている。そのため、マーケティングを目的にさまざまな地域・立地条件の区分マンションを取得してきた。22年からは、サービスの質向上を図るため1棟単位での取得にも乗り出している。現在1棟単位で取得したマンションは、東京都新宿区、三鷹市、世田谷区の3棟で、合計100戸ほどある。

▲アクティブシニアを入居者対象とした賃貸住宅の外観

 同社の不動産事業で重視するのは、不動産ストックを活用した社会問題の解決だ。これを踏まえ、「高齢者が賃貸住宅を借りにくい」という問題の解決に挑戦する。同社が物件取得の際にこだわるのは立地。取得物件は、東京都内で駅から徒歩10分圏内に限定している。年代を問わず需要が高い物件をあえて高齢者向けに貸し出し、趣味や社会活動に積極的なアクティブシニア層の受け入れを強化しているのだ。

 入居者のターゲットは60歳から80歳半ば。取得した物件はすべて中古マンションのため、空室から順に高齢者向けに開放し、3~4年かけて入居者層を入れ替えていく計画だ。24年9月13日時点では15戸で受け入れを開始している。入居条件としては、要介護認定が要支援2までで、身元引受人がいること、高齢者本人が契約することだ。

▲住戸内のトイレ、風呂場、玄関には手すりを設置

 アクティブシニアを想定しているため、過剰な設備は不帯せず、居室内への手すりの設置やALSOK(アルソック:同)の見守りサービスを導入していく。現在入居している高齢者は75歳から80代前半で、多くは入居者の子どもが呼び寄せるケースだという。

 物件の概要としては例えば、東急電鉄田園都市線三軒茶屋駅から徒歩4分のマンション。間取りはワンルームと1Kが主で一部1DKもあり、広さは24〜30㎡。家賃は見守りサービス付きで11万3000~15万3000円だ。
 アクティブシニア向け住宅の管理は、高齢入居者受け入れの実績がある管理会社のイチイ(東京都新宿区)と東都(東京都狛江市)が担う。

 リコーリース環境・不動産営業本部の中田和也副本部長は「将来的には保有するアセットを切り離し、賃貸住宅向けの独自サービスを物件オーナーなどに販売していく計画だ」と話す。

 なお同社が不動産事業で手がけるのは、収益不動産の賃貸、建物リース、信託受益権の取引、ローンサービスなどだ。24年からは、これまで部署をまたいで存在していた不動産関連の事業を集約して環境・不動産営業本部とし、不動産分野には約80人を配置し事業を展開している。

(2024年12月号掲載)

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