【特集】非住宅ではじめる 遊休地活用ビジネス第九弾③:トレーラーハウス

土地活用その他建物

トレーラーハウス Earthboat

キャンプの体験価値を向上させるトレーラーハウス
遊休地を活用した宿泊施設事業を展開

快適なキャンプ体験を提供

 アースボートはトレーラーハウスを活用した宿泊施設事業「Earthboat」を手掛けている。トレーラーハウスとは車でけん引して移動可能な家のことだ。

 同社はEarthboatを展開するにあたって、体験価値を重視した設計に注力した。自然の中で快適に過ごし、キャンプ体験をより楽しめるようにキッチンやトイレ、シャワーなどの一般的な設備に加えて、プライベートサウナが完備されている。サウナで体温を維持することで、自然の中でも快適に過ごせるようになるという。

アースボート(長野県上水内郡)
吉原 ゴウ 社長(42)

 同社の吉原ゴウ社長は、自身の幼少期からのアウトドア経験をふまえて次のように語った。

 「自然の中で行うキャンプ体験はテントを張ったり焚き火をしたりとノウハウや道具が必須な上、天候や気温などの環境によって体調が左右されやすい。自然の中で過ごすためにキャンプをしても、実際に外で心地よく過ごすことができる時間は意外と少ない」(吉原社長)

 サウナ室内の天井や床、壁はCLTと呼ばれる木材を使用。蓄熱効果が高い上、木材の重厚感により自然に馴染むデザインとなっている。
蓄熱効果の高い素材を使用
同社のトレーラーハウスは22㎡と、法律上で定められている最大サイズよりも小さく造っている。その理由を吉原社長は次のように語る。

「宿泊者は自然の中で過ごすことを目的としているため、室内環境のグレードを上げる必要はない。Earthboatは外で過ごすことを前提として作っている」(吉原社長)

 土地活用としてEarthboatを導入する際には2パターンある。1つ目は、ホテルなど既存施設の空きスペースに設置するパターン。2つ目は、遊休地にEarthboatを複数台同時に設置するパターンだ。

 いずれの場合にも導入には設置する土地と施設の運営をする人材が必要になる。導入の際は、事前に同社が土地を調べ、その土地に対しての設置台数を計画。建築コストや収益のシミュレーションを算出する。インフラ整備や稼働までの費用も合わせて、1台あたり総額2800万円からの想定だ。

 素泊まりの平均宿泊単価は4・4万円で、年間の平均稼働率は60%を維持している。また、Earthboatの公式サイトからの予約率は54%だ。

 同社はEarthboatの全国展開を進めるため、さまざまなブラッシュアップを行っている。展開中のパッケージは長野県北部の気候条件に合わせているため、現在は関東圏への拠点拡大を目指し、より温暖な地域に設置する場合のパッケージの設計を進めている。

▲天井が高く広々とした空間

(2025年 3月号掲載)
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