【特集】住宅とは違う事業用不動産による上手な土地活用①
賃貸マンションやアパートなどの居住用賃貸に限らず、事業用賃貸も土地活用の有効な手段の一つだ。ただ、貸す相手が事業者のため居住用賃貸と違いがある。検討するにあたり、まず何から始めたらいいのか、また契約や原状回復のポイントについて、成功事例と共に紹介する。
借主の業種・業態によって注意点は異なる
居住用との違いは主に二つ
事業用の土地活用は、居住用との違いが主に二つある。
一つ目は文字どおり用途。居住用は住むためで事業用は事業を行うため。ただし一口に事業といっても、借り手によってオフィスや店舗、飲食店、クリニックなどさまざまだ。貸し手が注意すべき点は借り手の業種、業態によって異なる。例えば稼働時間や営業時間は、オフィスやクリニックであれば平日の日中が中心だろうが、店舗や飲食店は週末、深夜の営業もある。
また店舗や飲食店だと騒音や臭い、ごみの発生というリスクも高まる。これらについて貸し手と借り手の間で齟齬(そご)があると、トラブルに発展しかねない。
二つ目は貸す相手。事業用は賃貸借契約を事業者と結ぶが、相手は企業であることが多い。事業用を対象にした不動産活用コンサルティングを手がける市萬(東京都世田谷区)の西島昭社長は「事業用の賃貸では、契約書の条文は借主となる法人が案を作成する例が多く、貸し手に不利な内容になっていることもありますので注意が必要です」と指摘する。

そのほかに留意しておきたい点は、事業用土地活用では自身で建物を建てるケースと、土地を貸すケースがあることだ。建物を建てるケースでは、居住用と同様にサブリース会社への賃貸、管理のみを委託、自主管理の三つがある。もう一方の建物を建てずに土地のまま貸すケースでは、土地を定められた期間、事業者に貸す事業用定期借地契約という方法がよく知られている。この場合、建物は事業者が建て、契約が満了すれば土地を更地にして地主に返す。
いずれにしても事業用土地活用は居住用に比べて難易度も上がる。何からどう検討し、何に注意すべきかを見ていこう。
(2025年7月号掲載)
次の記事↓
事業用不動産の立地と活用目的を見極める
アクセスランキング
- 繁忙期総括‘25 金利・物価の上昇が賃貸経営にも影響
- Regeneration ~建物再生物語~:歴史と文化を伝える私設図書館
- Regeneration ~建物再生物語~:わかめ加工場が大人の宿に
- 【特集】次世代に資産をつなぐ 生前贈与の正しい活用法:①生前贈与の基本
- 注目の新築 プロジェクト:デザイン性と収納力で差別化
- 【特集】非住宅ではじめる 遊休地活用ビジネス第九弾①
- 注目の新築プロジェクト:植栽付きバルコニーとドッグラン
- Regeneration ~建物再生物語~:築90年の日本家屋
- 【PR・特集】相続で 困ったときに頼りになる 専⾨家・サービス①
- Regeneration ~建物再生物語~:既存不適格建築物を店舗併用住宅に再生
- 【特集】非住宅ではじめる 遊休地活用ビジネス第六弾:①
- Regeneration ~建物再生物語~:築古アパートをシェアハウスに改修
- 【特集】持ち味発揮 共用部を変えた家主の工夫①:エントランス
- 【特集】押さえておきたい不動産の共有リスクと解消法①
- Regeneration ~建物再生物語~:アトリエ付き住宅へリノベして受賞
- 【特集】古くなったら避けられない 大規模修繕の基礎知識①
- 【特集】24年のカギを握る入居者を引き付ける設備9選
- Regeneration~建物再生物語~:魚屋を複合施設へリノベ
- 【特集】基本を知れば怖くない 税務調査への 対応策:①税務調査概要編
- 【特集】時代に乗り遅れるな今こそ省エネ化①:省エネ賃貸住宅の夜明け
- 【特集】不動産購入で伝来の土地を守る
- 地名・土地の名前の由来 その隠された意味とは?
- 地主・土地持ちはずるいvs大変?地主になるにはどうやってなる?
- 武家屋敷(大名屋敷・江戸屋敷)の特徴とは? 跡地に建つ有名施設
- 大家さんとは? 不動産の大家さんになるには
- ランドセット(売り建て住宅)とは メリットデメリット