職住一体を実現する小商い住宅を新築

土地活用賃貸住宅

<<温故知新の住まいづくり>>

職住一体を実現する小商い住宅を新築
募集から3週間で全 戸が満室に

 不動産開発分野等のデジタルインフラ事業を行うトグルホールディングス(東京都港区)のグループ会社、つくる地所(同)は2025年 8月、建築家の谷尻誠氏がプロデュースを手がける新しい賃貸住宅ブランド「商住宅」の第1弾として、「商住宅 中野新橋」を完成させた。

 同物件は鉄筋コンクリート造の地上3階建てで、東京メトロ丸ノ内線中野新橋駅から徒歩3分の場所に位置する。全11戸のうち、 1階にある3部屋は「KITCHEN TYPE(キッチンタイプ)」として飲食店の開業も可能な設計にしている。2~3階の8部屋についても玄関先の土間を広く取り、ギャラリーやショールームなど「自宅に付属する小規模なワークスペース」として利用できるようにしたSOHO設計。不特定多数の来客を想定した店舗用途ではなく、居住を主体としたうえで、個人の創作・業務の場を確保するための空間としている。また全部屋で居室スペースが奥にあることで、実際に住みながら事業を行うことができるのが特徴だ。

 賃料はKITCHEN TYPEの29・6㎡の部屋で19万5000円。同社の試算によると、27㎡の住居と24㎡のテナントを別々に借りた場合は賃料が合計で月23万円必要になる。なおかつ内装設計や工事費として、通常は最初に数百万の費用がかかるが、同物件では内装はすでに完成しているため、初期費用を安く抑えることが可能だ。募集開始前にSNSで紹介した段階から問い合わせは多く、募集開始からわずか3週間で満室になったという。入居者としては、カフェやベーグル店などで開業予定の人が決まった。

 新型コロナウイルス禍を経て「暮らし」と「仕事」の境界は曖昧になったことを受け、谷尻氏は「これからの時代は、家で商いをすることも当たり前になっていくでしょう。むしろ一昔前までは職住一体が普通のことだったので、自然な暮らし方に戻っていくということなのかもしれません」と話す。
(2026年1月号掲載)

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