<<条件緩和で活用しやすくなった コインパーキング最新動向>>
土地活用の選択肢として普及してきたコインパーキング。近年は、相続した実家の敷地活用や、空きが増える集合住宅の入居者向け駐車場をコインパーキング化する動きなどが目立つ。キャッシュレス決済対応が進むことにより、運営事業者側が開設コストや管理コストの削減をできるようになったことが影響しているようだ。今後コインパーキングの市場はどのように変化していくのか。最新状況について紹介する。
相続した実家跡地の活用増加
車室数は168万超え、増加傾向
コインパーキングの市場規模は近年緩やかではあるが拡大している。一般社団法人日本パーキングビジネス協会(東京都千代田区)が発表した「『一時利用有料駐車場(コインパーキング)市場に関する実態分析調査』2024年版」によると、2024年4月末のコインパーキングの車室数は168万9300車室だ。この数字は3年前の21年と比較すると4万7600車室増、9年前の15年と比較すると約51万車室増加している。

国土交通省の「自動車保有車両数統計」によると、いわゆる「自動車離れ」といった社会の変化がある中でも、微増ながらも増加傾向ではある。24年度末の保有台数(二輪車を除く)は7853万台を超えており、前年比で3万7000台増えている。
ただ、自動車保有台数の増加を大きく上回る形で、コインパーキングの車室数が伸びている。なぜか。
理由は主に二つ。一つ目は、都心部の駐車場不足だ。特に首都圏、関西中心部、政令指定都市では、オフィス街や商業地域などで需要がある。特に公共施設や病院、大型施設などの近隣は稼働が高い。また観光地や話題のスポットに訪れている人が増えていることも大きい。
二つ目は、コインパーキングを所有する側の事情がある。近年、利用目的が定まらないまま相続される土地が増えている。そのため、利用目的を定めるまでの「つなぎ」としてコインパーキングにするケースも増えているという。
国土交通省が25年4月にまとめた「空き地の適正管理及び利活用に関するガイドライン」によると、『現住居の敷地以外の宅地など』の土地の所有面積・割合」の77・5%は相続・贈与で取得したケースだ。
実際に全国で4200施設と4万8000車室のコインパーキング「ザ・パーク」を運営する第一興商(東京都品川区)でも、新規で受託する案件には相続関連の土地が増えている。「最近問い合わせで多いのは、相続した実家など古い家に関する相談です。家を解体した後にどのようにするかは現時点で考えていないので、取りあえずコインパーキングで運用したいという人が増えているようです」と第一興商グループのクレスト(東京都北区)の関西支店開発営業部の繁野幸介部長は話す。
後述するキャッシュレス決済対応により、狭小地でも開設しやすい状況も背景にあるようだ。

少ない初期コストが魅力
コインパーキングは建物がない分、初期コストが少なく、管理もほとんど不要だ。そのため、土地所有者にとっては、コストと運営の手間の部分でメリットが大きい。
コインパーキングを始める場合、アスファルト化や外構フェンス工事のみオーナー負担で、その他の精算機などの設備や電気工事などは運営会社の負担になることが多い。最近ではアスファルト化をしない状態でもコインパーキングとして運用するケースも出てきている。
運営方法については一括借り上げが多く、賃料収入が安定する。つまり、初期コストが低く、安定収入が得られる点が賃貸事業の初心者でも始めやすい点だといえる。また、コインパーキング駐車場は、通常の賃貸借契約ではなく、「一次使用賃貸借契約」という契約になる。この契約形態は借地借家法の範囲ではなく、民法の範囲となり、契約期間が終わればすぐに立ち退きが可能となる。その点も、地主が土地活用として選択しやすい理由だろう。
人気店舗の周辺に需要あり
いくらコインパーキングが始めやすい土地活用だといっても、当然だがどんな立地でも成立するものではない。
前面道路の交通量が多く、運転者が見つけやすい駐車場は利用されやすい。また近隣に商業施設やオフィスビルがあるエリアでは、駐車場が不足しているケースが少なくないため、適している。
それ以外の立地で、ニーズがある場所もある。「郊外や住宅街であっても、急激に稼働率が上がるケースがあります」と話すのは、三井不動産リアルティ(東京都千代田区)シェアリング事業本部事業推進部事業推進グループの大西良三グループ長だ。同社は「三井のリパーク」として1万6300事業地、25万8000車室(25年11月末時点)を運営している。
同社では急激に稼働率が上がる現象が起きた場合、現地に足を運んで原因を探ると、近隣で建築工事が開始していたり、行列ができるような人気の飲食店がオープンしていたりすることがあったという。
同社の事例のほかにも、アニメや映画の影響で話題になり、人が集まる「ホットスポット」になるケースもある。一概に郊外だからといってコインパーキング事業に向いていないというわけではない。所有地の周辺に人気店がオープンして行列ができそうならコインパーキングの需要は見込めるだろう。
建物に投資して賃貸する賃貸経営とは異なり、初期費用が低いコインパーキング事業だからこそ、トレンドと地域環境の変化をキャッチしながら運営することが肝となるようだ。
普及するキャッシュレス決済
決済についてはキャッシュレス化が進んでいる。現金を使わなくてもクレジットカードをはじめ、各種電子決済サービスを利用できるパーキングが増えてきた。さらに事前登録されたクレジットカードや各種電子決済サービスと連携することで、利用者は精算機に立ち寄ることなく駐車料金を自動で支払うことが可能となるアプリも登場している。
キャッシュレス対応状況は日本パーキングビジネス協会の調査によると、21年でクレカ決済が43%、交通系ICカードなどの電子決済が7%、その他電子マネー(スマートフォン決済など)が3%だった。
同協会には直近の数字の統計がないが、確実にキャッシュレス決済対応は進んでいる。
▲タイムズ24では新設パーキングをすべてキャッシュレス専用にする
約81万車室を運営する業界最大手のタイムズ24(東京都品川区)では全拠点でキャッシュレス決済対応となっている。さらに25年11月以降に新設する時間貸し駐車場「タイムズパーキング」をキャッシュレス決済専用にすることを発表。既存駐車場についても順次キャッシュレス決済専用に変更するという。
タイムズ24はこれまで、駐車料金の支払い手段として、クレカ、交通系ICカード、QRコード(二次元バーコード)など利用者のニーズに合わせたさまざまな決済方法を導入してきた。また精算機を使わずにアプリのみで支払いが完結する「タイムズクラブアプリ精算」の展開を行うなど、駐車場サービスを進化させてきた。今回の発表以降、さらにタイムズパーキングのキャッシュレス化を加速化させるのだという。
キャッシュレス化を支えるのは、近年増加しているフラップ(ロック板)レス駐車場だ。駐車場に設置したカメラにて車両ナンバーを認証(カメラ式駐車場)し、駐車車両を管理することで、不正利用防止ができる。
カメラ式駐車場は、出庫前に事前精算機で車両ナンバーを入力し精算手続きを行うため、入庫時の駐車券の発券や出口ゲートでの精算が不要。カメラ式駐車場の展開により、駐車券の発券や精算行為に起因する入出庫渋滞を緩和するとともに、駐車券のペーパーレス化による環境負荷低減にもつながる。
こうしたシステムにより、利用者は駐車券の紛失の心配がなくなり、スムーズに入出庫できるほか、運営側にとっても管理業務の効率化や不正利用防止にもなり、メリットが大きい。

セイワパークのスマホ決済専用のパーキング
立地が良ければ1台でも対応
キャッシュレス化が進むと、集金業務や、硬貨・お札の詰まりなど機械トラブルの減少が見込める。キャッシュレス化によりコインパーキング運営事業者の管理負担が軽減されることから、車室数が取れない狭い土地でも、利益がリスクを上回るようになってきた。
第一興商では、賃貸住宅の入居者用駐車場を数車室分借り上げて運用するケースが増えているという。

賃貸住宅の駐車場内につくった第一興商のコインパーキング
また九州を中心に約1万2000車室のコインパーキングを運営するセイワパーク(福岡市)は、アプリのQRコードのみを看板表示したコインパーキング運営も始めている。精算機も設置しないため、1台からでも借り上げに対応することができる。
カメラを設置すれば、板状の装置「フラップ」を設置しなくても不正出庫に対応できるのだという。
運営事業者にとっては、初期投資が抑えられるため、提案しやすいメリットがある。オーナーもこうした状況の中で、これまで以上に始めやすくなっている。
さらに新しい動きとして注目したいのは、コインパーキングにカーシェアや電動スクーターのようなシェアモビリティーを併設するケースが増えていることだ。
「カーシェアリング比較360°」によるとカーシェアの拠点数は、主要5社で2万7408ステーション(25年3月)あり、増加傾向だ。この先、少子高齢化による自動車の保有台数の減少を考えていくと、駐車場だけでない活用方法も広がっていくだろう。
今後活用できる土地条件が広がりつつある点と、コインパーキング自体の運営方法が多様化する流れから、堅実な土地活用の手法として期待できそうだ。

(2026年2月号掲載)

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