賃貸契約のほかレベニューシェアも対応 ―オリックス自動車

土地活用パーキング

<<THE パイオニア>>

カーシェア業界で最長の歴史を持つ
賃貸契約のほかレベニューシェアにも対応

オリックス自動車

ユーザー数が約560万人と広がりを見せるカーシェアリング市場。この市場のパイオニア的存在がオリックス自動車だ。同社はグループ力を生かした法人顧客に強く、平日の稼働率の高さが強みになっている。また独自の需要予測システムに基づく設置判断基準を持つことでも安定経営に寄与している。

オリックス自動車(東京都港区)
(左)レンタカー本部カーシェアリング部長 ソリューション推進室長 古瀬竜也氏
(右)レンタカー本部カーシェアリング部 ステーション開発チーム 石毛英樹氏

 

初期投資ゼロで導入

 オリックス自動車は、2002年にカーシェアリング事業に参入し、業界最長の歴史を持つ。

 同社の「オリックスカーシェア」は26年3月末時点で車両2604台、カーシェアステーション1563カ所を展開している。会員は26年3月末時点で、48万2762人。オリックスグループの顧客基盤を生かし、会員の約3分の1が法人だ。そのため、安定した平日の稼働率が強みとなっている。同社では自動車リース事業やレンタカー事業を全国展開しており、顧客の用途に合わせて「自動車リース+カーシェア」のプランを提案できる営業組織を備えていることも、法人会員の獲得に寄与している。

 土地や駐車場の有効活用を検討するオーナーにとって、カーシェアの導入には次のようなメリットがある。

 1つ目は、手軽な導入とリスクの低さ、そして初期投資ゼロであること。カーシェアの場合、コインパーキングのような大がかりな設備や電気工事は不要。既存の駐車スペースをそのまま活用できる。看板の設置は行うが、基本的には車が置いてあるだけの状態となるため、ほかの駐車車両と変わらない。

 2つ目は、1年更新の駐車場賃貸借契約が基本であること。将来的に物件を建てるなどの活用が決まった際も、比較的スムーズに撤退・解約ができる。

 3つ目は、物件価値の向上だ。マンションの敷地内や近隣に設置することで、車を所有しない層、特に30〜40代のファミリー層へのアピールポイントとなる。そのほか、買い物や送迎などの「日常の足」として地域住民に利用されることで、地域社会の利便性向上にも寄与できる。

独自の需要予測システムを活用して設置を決める

 同社のカーシェアサービスを導入する場合、通常は1台から設置可能だが、利用者の利便性を高めるために、近年では1カ所に複数台をまとめて設置するケースが増えているという。

 「最近多い事例は、例えば3台程度しか設置できない小規模区画における賃貸ニーズがあります。コインパーキングとしてはやや規模が小さく、月極駐車場とすると管理が煩雑になるため、区画を一括で賃貸できるカーシェア事業者へのニーズが高まっています」
こう話すのは、オリックス自動車のレンタカー本部カーシェアリング部長ソリューション推進室長の古瀬竜也氏だ。

 なお同社のカーシェアの利用料金は15分240円からで、ホンダの「フィット」や日産自動車の「ノート」などのコンパクトカーを中心に配備している。

独自の需要予測システム活用

 カーシェアステーションの設置については、同社独自の需要予測システムを活用している。新設の可否について基準となるのは、主に次の数字。メインターゲットとなる30〜40代のファミリー層の世帯数、最もコストに敏感でカーシェア利用に適している年収の世帯数、周辺居住者の車の保有率や、近隣駐車場の相場価格、そして、半径500m以内という狭い範囲での他社を含めたカーシェアの台数状況も加味する。

 さらに法人・個人双方の需要も考慮する。土曜・日曜日に集中する個人利用だけでなく、平日の稼働を支える法人需要が見込めるかどうかも、安定運営の重要な指標となるからだ。実際の導入にあたっては、オーナーから提供された情報を同社のシステムに取り込み、総合的な採算性を判断したうえで、オーナーにオファーする流れとなる。

法人顧客に強みを持つオリックスカーシェア

 収益モデルについては、単純な賃貸借契約による固定賃料支払いに加え、レベニューシェア型も導入している。具体的には、土地のポテンシャルに応じて、固定の賃料ではなく、変動式の賃料という形で売り上げの一部をオーナーに還元する。「売り上げの基準を設定させていただいており、よりいい土地を提供いただければ、さらに収入が増える可能性があります」(レンタカー本部カーシェアリング部ステーション開発チーム石毛英樹氏)

 ただし、この方式の場合、売り上げが基準金額よりも多ければオーナーへの還元額は増えるが、反対に利用が少なければ還元も少なくなることがある。そのため、100車室規模の駐車場など一定規模を保有し、リスク許容度のある事業者に適しているという。

 今後は地域の土地オーナーや遊休地活用を検討している事業者がオリックスカーシェアを展開するモデルの訴求も強化していく。地域の事業者が主体となってこの事業を行うことによって、カーシェア事業の選択肢を増やしていく計画だ。

(2026年7月号掲載)

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