【連載】海外各都市の不動産投資:アブダビ:8月号

賃貸経営不動産投資

アラブ首長国連邦・アブダビの不動産事情

経済成長著しいUAE首都

 世界各国を回っていると、アラブ首長国連邦(UAE)の繁栄が際立って見えます。世界最大級のインフラ開発、不動産開発のプロジェクトがめじろ押し。世界中のビジネスや富裕層が集まり、高所得国でありながら国内総生産(GDP)成長率は年間約5%という高さで推移しています。

 UAEの首都はアブダビです。同国を構成する七つの首長国のうち最大の面積と原油産出量を誇り、政府機能が集中しています。ドバイまでは約120㎞と、車で2時間弱の距離です。

 都市人口はドバイの約360万人に対し、アブダビは約180万人です。高層ビルで埋め尽くされた都会的で洗練されたドバイと比べ、低層の建物が多くのどかな印象を受けるアブダビですが、実は巨大な富を蓄積しています。アラブ圏の真のお金持ちやドバイで大成功した人は、アブダビを目指します。

 アブダビはここ数年、経済成長が加速。「ルーヴル美術館」「フェラーリ・ワールド」「ワーナーブラザースワールド」とテーマパークが相次いで開業し、世界中の人々の度肝を抜きました。さらに中近東で初となる「ディズニーランド」も数年後に開業する予定です。国際ハブ空港もあり、ドバイに並ぶ観光都市として注目されつつあります。

高層ビルが立ち並ぶアブダビの都心部

 

都心部の賃貸利回り8%

 アブダビでは長らく、外国人の不動産所有を区分マンションのみに規制していました。しかし、2019年に規制が緩和されて外国人も所有権付きの土地が買えるようになり、所有権・土地付きの戸建てやタウンハウスの開発が進んでいます。

 その中でも目を引くのが、アブダビ中心部から橋を渡ってすぐのウオーターフロントエリア、フダイリヤット島です。砂を標高60mまで積み上げた巨大な人工の丘に、道をつけて木を植え、ゲートコミュニティーとなる高級住宅地を造成するプロジェクトが進行中。その野心的な規模に圧倒されます。

 アブダビは産油地ゆえに所得水準が高く、ドバイと遜色ありませんが、不動産価格はドバイの同等立地と比べて低めで、伸びしろを感じます。都心近くや金融地区の区分マンションでは賃貸利回りが8%は出ます。

 また200万UAEディルハム(約8000万円)以上の物件をアブダビで購入すると、10年間有効のアブダビ・ゴールデンビザが申請できます。アブダビに合法的に居住して就労、ビジネスができ、ドバイと行き来もしやすいため価値は高いです。


アジア太平洋大家の会

代表 鈴木 学

[PROFILE] 海外不動産に精通し、6カ国語を操るアナリスト。国際不動産エージェントの取締役としても多数のセミナーを主催する。自身も6カ国で物件を所有し、投資・経営を行うグローバル家主。

(2025年 8月号掲載)

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