老後の備えで趣味の仲間も手に入れた

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老後のために始めた賃貸経営
趣味の鉄道仲間が増えて充実

 佐藤哲夫オーナー(東京都北区)が賃貸経営を始めたのは、自身が35歳だった35年前の1990年だ。当時はサラリーマンとして安定した収入を得ていたが、ある時点で自分の将来に不安を感じてしまったという。

 「年金の月額通知を見ると毎月20万円もない。収入もないうえにやることもない老後を想像して危機感を抱きました」(佐藤オーナー)

佐藤哲夫オーナー(東京都北区)


 佐藤オーナーは、リタイア後の収入と「時間つぶし」のために不動産経営に目を付けた。まず手始めに、埼玉県に近い東京都北区赤羽に1DKの新築区分マンションを購入。その後、企業勤めを続けながら、東京都北区と埼玉県の中古物件を中心に所有数を増やしていく。

 その後、当初購入した区分マンションや中古で購入した物件を売却し、収益性の高いものに組み換えた。2020年には定年退職を迎え、専業オーナーとなった。現在は、さいたま市に1棟のほか、東京都北区に2棟、千代田区に区分マンションを3戸所有している。

内見時に印象つける工夫

 佐藤オーナーは、新築物件では住みやすく、広く見せるデザインにこだわっている。玄関を広く取り、居室内も扉をできるだけ減らし、スペースを細かく区切らないことで同じ専有面積でも広く見えるのだという。またクローゼットの代わりに可動式の棚を設置。入居者にとって自由が高い空間をつくっている。

 また客付けの際に、ほかの物件と比べて印象を強く残すことにもこだわる。空室に絵を飾るといった内装の工夫のほか、敷地内の掲示板をデジタルにしたり、入り口近くの自動販売機をドリンクではなく冷凍食品のものにしたり、ほかとは一味違う印象を与えている。

 新築物件の利回りは8~10%ほどだが、周辺相場の値上がりによって、次回の入れ替え時には若干の上昇を見込んでいる。

▲物件前にはあえて珍しい冷凍食品の自販機を置いた

経営と共に鉄道を楽しむ

 こだわりが詰まった所有物件の中でも、最も気に入っているというのが、JR京浜東北線東十条駅近くの1棟だ。道路を挟んだ向かい側には線路が走る。

 「前々から、ここに自分の物件があったらいいなと思っていました。土地が売りに出ているのを見つけてすぐに購入したのです」と話す佐藤オーナー。実は大の鉄道好きで、同好の士が集まる京浜東北線沿いに愛着があった。自身の事務所もこの物件内に構えている。

 また不動産オーナーの勉強会のほか、鉄道好きの経営者の集まりにも月1回参加。異業種交流会でもあるこの集まりで、楽しみながら情報収集を行っているという。
「賃貸経営を始めた当初は、会社勤めを終えたらやることがなく、孤独になるのだろうと思っていました。不動産の世界に足を踏み入れたことで、趣味のつながりもでき、予想に反して忙しい毎日を送っています」(佐藤オーナー)

 佐藤オーナーの次の目標は、東十条にてカフェやコミュニティースペースを運営することだ。鉄道好きの子ども連れが多い地域であるため、需要を見込んでいる。

(2025年8月号掲載)

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