<<眠っているお宝 目の付けどころ:vol.8>>
貴金属・宝石類
「生前整理や遺品整理をしていると、貴金属や宝石類を見つけることがあります。宝石箱やポーチなどにぎっしり入っていることもあれば、引き出しから、『喜平』と呼ばれる鎖を押しつぶした形状のネックレスや18金のリングが出てくることもあります。そのような場合、必ずお客さまに『どうなさいますか?』と聞くのですが、『いらないから買い取ってください』と言うことが多いですね」と語るのは、年間約200件の遺品整理・生前整理を手がけるジョイントバリュー(東京都葛飾区)の秋月圭介社長だ。
陶磁器や掛け軸などと違い、貴金属や天然宝石が使われたジュエリーは持ち運びが簡単で、売れると思う人も多い。そのため、生前に街の買い取り店などで査定に出す人も少なくない。しかし、その価値は時代によって変化しているので、注意が必要だ。「ダイヤモンドは高く売れるが、色石やパールは値段が付かない」と思い込んでいる人もいるが「昨今はその逆なのです」と秋月社長は話す。
円安やインバウンドの影響も
「合成技術の進歩により、天然ダイヤモンドと見分けがつかないような高品質の人工ダイヤモンドが生産されるようになりました。その影響で天然ダイヤモンドの価格は10年前の半分以下になっています。一方でサファイアやエメラルドは円安の恩恵を受けたインバウンド(訪日外国人)からの人気もあり、需要は戻っているのです」(秋月社長)。また養殖環境の変化による生産量の減少から、真珠の値段も高騰している。
先日、士業からの紹介である家に遺品整理に訪れた。その士業は、街の買い取り店では二束三文で買い取られてしまうからと、秋月社長を紹介したのだ。
紹介された家にはかなりまとまった量の宝石類があり、秋月社長は合計880万円の査定額を提示した。その金額を聞いて、依頼主は仰天した。実はその前に大手の買い取り店に相見積もりを出してもらっていたのだが、その金額は300万円だったからだ。色石やパールは値段が付かないと聞いていたので、その金額で満足してしまっていたのだ。

▲誤った査定をされないよう、知識豊富な専門家に依頼しよう
母親が購入し大切にしていた宝石を街の買い取り店2店舗で査定してもらったところ、両店舗から偽物だと言われて納得できず、秋月社長の元に来た人もいた。査定の結果は本物で、そのまま買い取ったという。
「そのお客さまは、色石をすでに二束三文で売却してしまっていたことが悔やまれます。貴金属や宝石類は、石の背景を語れる知識のある専門家に査定を依頼することをおすすめします」(秋月社長)
ジョイントバリュー(東京都葛飾区)
秋月圭介店主

大手リユース企業の役員を経て遺品整理・生前整理を手がける同社を設立。一般社団法人全国遺品整理業協会の代表理事を兼任している。
■店舗情報
関東圏一帯で、年間約200件の遺品整理・生前整理・家財道具の整理を手掛けている。
(2025年 10月号掲載)