<<データで見えた>>
設備投資に関するアンケート調査
AI(人工知能)賃料査定システムを提供しているスマサテ(東京都品川区)は、6月2~18日の期間に「設備投資に関するアンケート」を実施。不動産オーナー439人の有効回答から、導入することで家賃を上げることができた設備や希望する費用回収期間などが明らかになった。
Q.家賃を上げることができた設備は?
A. 単身者向けは「インターネット無料」、ファミリー向けは「エアコン」

家賃を家賃を上げることができた設備について聞いたところ、単身者向けでは「インターネット無料」が一番多かった。「導入している物件が増えている」「ネット上で条件を入力して検索するときに、付いていないとはじかれてしまう」といった声が上がり、平均1,854円の家賃アップを実現している。またファミリー向けでは「入居付けがスムーズになる」という理由で「エアコン」が最多となり、アップした家賃は平均で2,651円だった。
単身者向けで2番目に多かった「宅配ボックス」は、1,468円家賃を上げることができている。これはファミリー向けでも「入居の決め手の一つになる」と3番目にランクイン。またファミリー向けで2位だった「テレビモニター付きインターホン」の家賃アップ分は、1,250円だった。これは単身者向けでは5番目となり、防犯意識の高まりを感じさせる。
近隣競合物件との差別化を図るために、単身者向け物件に「サウナ」を導入し、3万円の家賃アップを実現した例もあった。物件によって需要がある設備は異なるが、ニーズを的確に拾い上げることで、家賃アップにつながっていくと思われる。
Q.不動産会社から提案を受けたが設置しなかった設備は何か?
A. ネット無料が最多

物件によっては人気の高い「インターネット無料」だが、不動産会社から提案を受けたものの、設置しなかった設備としても1位になった。理由として「費用対効果が感じられない」「需要がどれだけあるのか不明」といった声が上がっている。
同様に「宅配ボックス」も「戸数に対して設置費用が高すぎる」「未設置で安い家賃のまま貸したほうがいい」との意見から、導入を見送るオーナーが多い。
ただ、「実際の家賃アップの事例や入居者に対しての具体的な効果、その地域の特性についての情報などが明示されれば、前向きに検討することも可能」とのコメントもある。費用に対して効果があることが目に見えて納得できれば、新しい設備も導入しやすいようだ。
Q.どのくらいの期間で設備費用の回収を求めるか?
A. 1~3年がメイン

設備投資の費用を回収するためにかかる期間はどのくらいの長さを希望するか質問したところ、約38%の人が「1~3年」と回答した。次いで「半年から1年以内」(26.9%)、「3~5年」(15.2%)と続き、約8割の人が5年以内の費用回収を希望していることがわかる。
なお現在導入を検討している設備としては「宅配ボックス」や「インターネット無料」が多く挙げられた。「すでに設置されている物件が増えている」「今の賃貸のスタンダード」といった、競合物件や時代の動きを意識したコメントが寄せられている。長期的には導入する方向で考えるべきと捉えているオーナーが多いことが読み取れ、今後導入の増加が予想されるのではないだろうか。
(2025年10月号掲載)