台湾・台中の不動産事情
台湾で「一番住みたい」都市
日本でJR東海道新幹線沿いに主要大都市が続くように、台湾では西部に広がる平野を貫く台湾高速鉄道沿いに、台北、台中、台南、高雄といった大都市が連なります。その中で台中は、日本の名古屋に似て、製造事業やサービス事業が盛んな都市です。

台湾では台北が圧倒的ナンバーワンの都市ですが、近年は台中が高雄を抜き、人口280万人を超えて台湾第2の都市の座に就きました。
台北一極集中が進む台湾において、台北から遠い高雄などの南部は人口が減少傾向です。その一方で台中は、高速鉄道でわずか45分という台北から程よい距離に位置します。都市機能がそろい、各種ビジネスも集まっていることから、人口は増加傾向が続いています。
さらに台中は気候にも恵まれています。「台北は冬場になると天気が悪い日が続く」「高雄は年中暑すぎる」といわれるのに対し、台中は晴天が多く、気温は適度で、台風被害の少ない都市です。「台湾で一番住みたい都市」に選ばれることも多くあります。
坪単価は台北の半値以下
台北都市圏と比べて不動産価格が手頃であることも、台中の人気を高めています。住宅の1坪あたりの単価(新築と中古を含む全住宅平均)を見ると、台北の103・15万元が突出して高く、台北近郊の新北が57・65万元です。それに対し、台中の平均は44・17万元と、お値打ち感があります。
さらに台中の通勤圏で見ると、市内中心部は坪単価が50万元を超えますが、近郊では坪25万~35万元の地域もあり、一般的な所得の勤労者でも手が出る価格帯になります。
例えば、台湾における平均的なファミリータイプの面積は25~30坪です。それらの物件が台中市内だと1250万~1500万元(約6250万~7500万円)、台中市近郊だと750万~900万元(約3750万~4500万円)程度で買えます。

台中市内のビル群
日本と似て融資環境は良く、新築・築浅であれば、住宅ローンは金利1~2%台、30~35年で組めるものが多いです。
台中には国際空港があり、高速鉄道で台北や高雄と直結、高速道路網も整備されていて、国内外とのアクセスが良いです。その一方で、軌道系の交通機関はまだ発展途上で、現時点で地下鉄はグリーンラインの1路線しかありません。台中市民の普段の移動手段は、車かバイクとなっています。
アジア太平洋大家の会
代表 鈴木 学

[PROFILE] 海外不動産に精通し、6カ国語を操るアナリスト。国際不動産エージェントの取締役としても多数のセミナーを主催する。自身も6カ国で物件を所有し、投資・経営を行うグローバル家主。
(2025年 10月号掲載)