宅地建物取引士、試験直前の今だからできること

賃貸経営トレンド

<<宅建試験企画>>

 2025年10月19日に宅地建物取引士(宅建士)の試験が行われる。同資格は、毎年20万人前後が受験する国家資格で、不動産の売買や賃貸の仲介を行う際に、重要事項の説明や契約書への記名などができる、不動産取引の専門家であることを示す資格だ。今号では、宅建士試験まで1カ月となった直前期における資格取得へ向けた勉強への姿勢や宅建士試験の今年の傾向などについて、資格試験スクール3社からの話を紹介する。

資格の大原

得点源は必ずおさえよう


資格の大原 川村博司講師

 試験直前は一分一秒の有効活用が重要になる。「スマートフォンで家事の合間に数分ずつの演習を積み重ねて合格した受講生もいます」と話すのは資格の大原の川村博司講師。「ちりも積もれば山となる」は本当なのだ。スマホ学習は最後の追い込みにもおすすめだという。スマホ学習の際には、苦手な過去問を解いたり、頻出項目の確認をする方法が良いそうだ。

 机に向かって勉強をする際は、時間を測って模試形式で取り組もう。「わからない問題の数を数えて自分を追い込むカウントダウンのやり方ではなく、解答することができた問題の数を数えながら取り組むほうが落ち着いて取り組めるのでおすすめです」(川村講師)

 試験直前に振り返ってほしいのは、統計問題等だ。毎年必ず出題されるテーマ(統計)と、暗記さえすれば必ず正解できる問題(宅建業法の重要事項の説明など)は得点源にしやすい。時間もさほどかからないので必ず見直しておこう。

 「過去に正答の選択肢の番号が過度に偏ったことはありません。例えば、試験の際に自分が選択した解答に『1』があまりに多いようであれば1の問題から見直すようにするといいかもしれません」(川村講師)

\ ひとこと! /

 問題を見て頭が真っ白になる人は案外多いものです。あなただけではありません。自分を落ち着かせるには、問1から順番に解くのではなく得意分野から進めましょう。
 合格する自分をイメージして学習を進め、是非合格を勝ち取ってください。

 

資格の学校TAC

偏りのない学習が大事


資格の学校TAC 笠松信之講師

 「ヤマを張ってはいけません」と話すのは資格の学校TACの笠松信之講師。例えば、ここ10年ほどは税の分野で固定資産税と不動産取得税が1年ごとに交互に出題されてきたが、近年その流れは崩れた。2023年、24年とも不動産取得税の問題が出題されたのだ。

 「2年連続で不動産取得税が出題されたから25年は固定資産税が出題されると思うのは危険です。そこで不動産取得税を勉強しなかった人、つまりヤマを張った人を落とすような流れになっています。このほかにも交互に出されてきた分野はありますが、受験生の裏をかく出題になる可能性があります。25年についても、特定の分野は勉強しなくていいなどと考えないほうが賢明です」(笠松講師)。

 分野は、満遍なく学習をする必要があるが、難解な問題が解けるようになる必要はない。合格点に届くことを目標に、学習内容も取捨選択していこう。不動産経営に役立つ資格の最高峰の宅建試験。

 「合格後に仕事に生かしている自分の姿を想像してやる気を引き出し、直前期であっても基礎的なポイントを押さえるのが合格への近道だと思います」(笠松講師)

\ ひとこと! /

ほとんどの受験生がわからないような問題はたった5問程度です。試験問題を開いてわからない問題が多いと感じても、落ち着いて考えればある程度まで可能性が絞れます。
大事なところを繰り返して勉強して、自信を持って当日に挑んでください。

 

LEC(東京リーガルマインド)

基礎を押さえて 合格点を目指す


LEC 友次正浩講師


 試験本番まであと何日。そんなことを考えながら日々を過ごす受験生も多いだろう。残された時間が少ない中で勉強に取り組むこつは、頻出事項に絞って学習することだ。「近年の傾向から考えて、難問は無視して、得点できる易しい問題を確実に取る。この見極めが大切です。特に直前期に新しい内容に取り組むのは危険。得点しにくいうえ、どこまで学習したらいいのかわからなくなるので逆効果です。真面目な人ほど直前期に『あれもこれも知らない、覚えていない』とパニックになりやすいので気を付けましょう。知らないことがあっても、基礎を押さえれば合格点は取れます」とLECの友次正浩講師は話す。

 頻出事項に絞るといっても、丸暗記をするのは駄目だ。過去問題を暗記したとて同じ問題が出るわけではない。単なる暗記では事例問題に対応ができないため、内容理解が肝要となる。

「たったの1カ月、されど1カ月。得点は十分に伸ばすことができます。『これが出る』という頻出分野は決まっています。個数問題などの出題方式であっても対応できるように、理解を深めて学習しましょう」(友次講師)

\ ひとこと! /

年齢や背景に関係なく、やる気を出した人が合格しています。確かに全体の合格率は20%以下ですが、勉強すれば合格する試験であることは断言できます。
今までやったことを思い出して当日頑張ってください。

 

改正点に注意

3社の名物講師が口をそろえたのが、法改正の部分は必ず出題されるという点だ。

●空き家の取引手数料が変わった
改正前:売買価格が400万円以下の場合は最大18万円(税別)→改正後:売買価格が800万円以下の場合は最大30万円(税別))

●建築確認が必要な建築物について、木造と非木造で統一された
(構造によらず、2階以上または延べ面積200㎡超の建築物は建築確認の対象になった)


(2025年 10月号掲載)

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