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<<築30年超えでも賃料アップ 賃貸リノベ解体新書>>
入居者イメージを絞り部屋をデザイン
宅配ニーズの高まりから玄関ホールも造作
東京都板橋区にある築49年の鉄筋コンクリート造賃貸マンション「三田小茂根コーポ」。今回対象となったのは、エレベーターなしの5階に位置する38・34㎡の一室。室内の老朽化が進み、賃貸募集をしても成約に結び付かない状況が続いていた。オーナーは「このままでは入居付けが難しい」と、大幅な改修を決断した。


リフォームの依頼を引き受けたのは、尊みこと商事(東京都中央区)。同社の佐藤将社長は、「玄関を開けた瞬間に外観とのギャップを感じる室内空間」を意識したという。
ターゲットはカップルや単身者らで、1~2人の入居を想定した。そのため、部屋を増やすよりも1LDKにしたほうがニーズに応えられると考えた。
また元の部屋から考えると、玄関がリビングに含まれる1LDKにするほうが簡単だ。実際に、同物件の別部屋でもそういう部屋が見られる。しかし、宅配サービスの利用増加もあり、「宅配の受け渡しなどで室内を見られないようにするため」と玄関にホール空間をつくり、生活空間と玄関を分離した。プライバシーの確保のほか、居室の断熱性も向上させた。
デザイン面では、床や建具の色合いを温かみのある木目調で統一。さらに窓枠の色みも変更したが、ここにはダイノックシートを使用することで交換よりも安価に施工できたという。
賃料は従前の9万円から10万5000円へと約15%アップし、募集開始からわずか1週間で入居が決定した。工事費用は約450万円。築年数の古い物件でも、コンセプトを明確にしたうえでデザインすることで、価値向上が可能であることを示す事例となった。

1. 玄関を入ってすぐの場所には居室から分離するためのホールがある
2. DKをつないでLDKに。部屋数よりも1~2人の入居者のニーズを意識した
3. 配管の問題から、水回りの配置は従前のまま新しいものに入れ替えた
4. 窓枠の劣化改修にはダイノックシートで対応。安価ながらきれいに補修することが可能だ
【施工会社】
尊商事(東京都中央区)
佐藤将社長

(2025年10月号掲載)