広島|豪雨災害から10年、進む地域の備え
豊田裕之オーナー

2014年8月20日未明、集中豪雨により広島市安佐南区・安佐北区を中心に土砂災害が発生し、77人が犠牲となりました。被害拡大の要因は崩れやすい真砂土と急斜面に迫る宅地開発や、夜間で避難が難しかったことです。八木・緑井地区では複数の谷からの土石流が住宅地に達するまでの時間が約90秒との報告もあり、迅速に避難することの重要性が叫ばれました。
そして以後10年かけ、災害への対応が進んでいます。今後も土砂崩れへの警戒が必要な両区に、砂防ダム約40基が完成。広域避難路も徐々に整備されています。
広島市は避難情報を5段階に統一し、避難のタイミングを明確化。また市内の土砂災害警戒区域が7800区域超に拡大され、災害の危険性が高いエリアの見える化が進みました。避難誘導アプリ「避難所へGo(ゴー)!」の運用も開始されています。
当時、損害保険事業に従事していた人からは、土石流による被害が大きかった団地の上方にあった住宅では、火災保険の水災補償を外していたケースがあり、支払い対象にならなかったことも多かったと聞きました。人命も建物も一瞬でなくなってしまう災害に、平時から危機感を持ち、対応していく心構えが必要です。
(2025年12月号掲載)






