【連載】家主の賢いキャッシュフロー改善:1月号

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税金を抑える
~本当の節税とは? 節税の3つのカテゴリー~

 キャッシュフローを改善するためには、①収入を上げる②支出を下げる③税金を抑える、この三つしかありません。前回に続き、③の税金を抑える方法を解説します。

 前回まで、減価償却による節税効果について解説してきました。減価償却による節税効果とは、税金の繰り延べに過ぎないことを理解いただけたと思います。

 それでも、不動産オーナーからは「いい節税策はないですか」とよく聞かれます。

「税金を減らす方法ならいくらでもあります。しかし、それがあなたの経営にとって本当にいいものかどうかはわかりません」というのが、私の答えです。

 つまり、何の目的で節税をするのかについて考えないと、経営に悪影響を及ぼす可能性があるということです。

賃貸経営の目的を見失う 節税にとらわれる危険

 世の中でいわれる節税のほとんどが、お金が出ていく(支出が増える)という対策です。税金は減るけれども、それ以上に手元のお金も減るのです。

 私は「税金は積極的に支払うべきだ」と言うつもりはありませんし、多くの人ができれば払いたくないと考えることも理解しています。

 しかし、節税にとらわれてしまうことでお金を失い、経営破綻となれば、本末転倒です。

 節税に躍起になるあまり、不動産投資の目的が変わってしまう人もいます。当初は「資産を○○円まで増やしたい」「キャッシュフローの手残りを△△円にしたい」と言っていたにもかかわらず、いつの間にか、税金を減らすことに労力を使い出します。「お金を増やす」という目的が「税金を減らす」という目的にすり替わっているのです。

「得した気分」に惑わされず 最適な節税を見極める

 「税金を減らす」目的で経営している人は「節税して得をした気持ちになりたい」という感情が先に出ます。「損得勘定」ではなく、「損得感情」で判断をしているのです。

 このような「感情」に惑わされず、「勘定」で判断するには、効果を数値化することが重要です。「有効な節税とは一体どんなものなのか」「自分にとって最適な節税は何か」を、数字を見て判断してもらいたいのです。

 そのためには、まず節税の本質を探らなければなりません。私は節税の効果を三つのカテゴリーに分けました。

 ● 割引効果
 ● 繰り延べ効果
 ● 本当の節税

 割引効果と繰り延べ効果については、これまで解説してきました。次回から、いよいよ本当の節税についてお伝えします。

【解説】
Knees bee(ニーズビー)税理士法人(東京都千代田区)
代表 渡邊浩滋税理士・司法書士

危機的状況であった実家の賃貸経営を引き継ぎ、立て直した経験から2011年開業。18年大家さん専門税理士ネットワークを設立し、全国の家主を救うべく活動中。22年法人化。「賃貸住宅フェア」などでの講演も多数。(2026年1月号掲載)

(2026年1月号掲載)

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