長期的な安定収入が見込め、節税にもなり、それほど手間がかからない賃貸経営は人気の土地活用方法です。一方で、不動産投資を検討している土地の周辺に賃貸住宅がたくさんある場合は、競争が激化して思うような利益が得られないことも。そこで、国土交通省の「建築着工統計調査報告・住宅着工統計」で、2024年に九州・沖縄エリアにおける貸家(賃貸住宅)の新築着工数をみることで、同エリアの賃貸市場の状況を探ります。
九州・沖縄エリアでの土地活用、新築着工総戸数のうち賃貸住宅は47.3%
国土交通省では建築基準法に基づき、全国の建築物の着工状況を明らかにするため建築主から都道府県知事に提出される建築工事届を集計し「建築動態統計調査」として毎月公表しています。その中で、特に新たに建築された住宅に関する調査結果をまとめたものが「住宅着工統計調査」です。
同調査の結果によると、九州・沖縄エリアで24年に着工した住宅総数は9万329戸で前年比5.9%の減少でした。そのうち賃貸住宅は4万2780戸。23年から2.8%減となっています。

九州・沖縄エリアにおける構成割合では、福岡県が40.9%で最多。次いで熊本県、沖縄県と続きました。新築賃貸住宅の着工戸数が前年より増えたのは沖縄県、熊本県、大分県の3県のみ。最も増加率が大きかったのは沖縄県で17.8%の増加でした。一方、最も減少率が大きかったのは長崎県で前年比21.8%減となっています。
福岡県の新築賃貸住宅での土地活用は地区最高の着工数となる
九州沖縄エリアにおいて最も構成割合が多かった福岡県の24年における賃貸住宅着工数は1万7497戸で、前年と比べて4.8%減少しました。

構造別の内訳では、鉄筋コンクリート造は9203戸で全体の52.6%と半分強を占め、続いて木造が6573戸と37.6%。ほかに鉄骨造が1651戸、鉄骨鉄筋コンクリート造68戸でした。
建て方別に見ると、共同住宅が1万3899戸で最も多く、次に長屋建て3286戸、一戸建て312戸と続きました。新築賃貸住宅の全体のうち79.4%が共同住宅となっています。
長崎県の新築賃貸住宅は木造が過半数で約7割が共同住宅
長崎県の24年に着工した新築賃貸住宅は2876戸で、前年比21.8%減となりました。

構造別では、木造が1662戸で全体のうち57.8%と過半数を占め、次に鉄筋コンクリート造が947戸、鉄骨造が206戸となりました。
建て方別の内訳を見ると、2110戸だった共同住宅が最も多く、長屋建てが674戸、一戸建てが92戸と続きました。新規に着工した建築物全体のうち73.4%が共同住宅という結果です。
佐賀県の新築賃貸住宅での土地活用は共同住宅が約半数
佐賀県では賃貸住宅1835戸が24年に新しく着工しました。23年との比較では20.1%減と、九州・沖縄エリアで2番目に大きな減少率でした。

そのうち木造が1170戸で全体の63.8%を占めました。鉄筋コンクリート造と鉄骨造とがそれぞれ413戸、252戸着工しました。
建て方別では共同住宅が900戸、長屋建て890戸、一戸建て45戸となり、共同住宅が約半数を占めています。
熊本県の新築賃貸住宅での土地活用は着工数が前年比11.6%増
九州沖縄エリアで2番目に着工戸数が多かった熊本県の24年における新規賃貸住宅着工数は7722戸で、23年と比べて11.6%の増加でした。

構造別では、鉄筋コンクリート造が3027戸で最も多く、県内全体の39.2%を占めました。以下、木造が2846戸、鉄筋造が1815戸、鉄骨鉄筋コンクリート造12戸と続きました。
建て方別では共同住宅が77.1%を占める5950戸で最多、次いで長屋建て1606戸、一戸建て166戸の順となっています。
大分県の新築賃貸住宅での土地活用は着工数伸び率が微増
大分県では24年に2811戸の賃貸住宅が新規に着工。前年からは5.2%の微増でした。

構造別では鉄筋コンクリート造1215戸、木造が1179戸、鉄骨造417戸、となり、鉄筋コンクリートと木造で8割強を占めています。
建て方別に見ると共同住宅が全体の67.7%となる1904戸で最多。以下、長屋建て869戸、一戸建て38戸と続きました。
宮崎県の新築賃貸住宅での土地活用は共同住宅が過半数を占める
宮崎県の24年における賃貸住宅の新規着工戸数は2013戸となり、前年から18.7%減りました。

構造別でみると鉄筋コンクリート造が867戸で43.1%、木造が862戸で42.8%とほぼ同じ割合を占め、残りは鉄骨造(284戸、14.1%)でした。
建て方別では、共同住宅が最も多く1132戸と半数を超えたほか、長屋建てが828戸で4割となり、戸建ては53戸と2.6%にとどまりました。
鹿児島県の新築賃貸住宅では共同住宅が中心となる
鹿児島県の24年の賃貸住宅着工数は、2824戸。前年比では11.1%の減少となりました

また賃貸住宅の構造別に見ると、鉄筋コンクリート造が1576戸で55.8%を占めて最多。次いで木造が950戸、鉄骨造が277戸の順でした。
建て方別では、共同住宅が2199戸で新築賃貸住宅着工戸数における構成割合は77.9%です。長屋建ては525戸、一戸建てが100戸となっています。
沖縄県の土地活用、新築賃貸住宅着工戸数の増加率がエリアトップ
沖縄県の24年の賃貸住宅着工数は5202戸で、中国・四国エリアで着工戸数が3番目の多さでした。一方、前年比では17.8%増と、同エリアにおいて最も高い増加率となりました。

賃貸住宅の構造別に見ると、鉄筋コンクリート造が4935戸で構成割合が94.9%となり最多。次いで鉄骨造が112戸、木造は102戸、鉄骨鉄筋コンクリートが11戸の順でした。九州沖縄エリアでは鉄筋コンクリート造の占める割合が突出していました。
建て方別で94.1%を占めて最多だったのは共同住宅で4895戸。長屋建ては165戸、一戸建ては142戸となりました。
九州・沖縄エリアの新築賃貸住宅の傾向を知って、納得のいく賃貸住宅建築を
九州・沖縄エリアで賃貸住宅の新築着工戸数が前年比で最も増加した沖縄県。また増加率が2番目に多かった熊本県や、増加率では前年比4.8%減となったものの着工戸数ではエリアトップだった福岡県は、賃貸住宅による土地活用を考えるオーナーが多いエリアと言えそうです。
構造の傾向を見ると、沖縄県で鉄筋コンクリート造が9割を超えたほか、鹿児島県や福岡県でも5割を超えました。木造が最多だったのは佐賀県と長崎県の2県でした。
さらに、建て方別では全ての県で共同住宅が最多。しかも五つの県で7割を超えており、共同住宅のニーズの多さがうかがえる結果となっています。
建材価格や人件費が高騰している中、新築で賃貸住宅を建てるには多額の費用が掛かります。活用を考える土地のエリア的傾向を把握し、納得のいく不動産投資を実現しましょう。
(2026年1月21日更新)

エリア別で考える土地活用、九州・沖縄エリアの新築状況は?
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