<<市場研究:トランクルーム>>
住宅のコンパクト化でニーズ拡大 市場は10年で2倍に成長
今注目されている土地活用の一つにトランクルームがある。トランクルームとは、建築用コンテナや空きテナントなどを利用したレンタル収納スペースのことで、自宅や事務所の収納スペースが足りない個人や企業に利用されている。拡大しているトランクルーム市場の背景には住環境の変化が大きく関わっているようだ。
市場規模は約850億円
トランクルーム市場は、都市部を中心とした住環境の変化を背景に、近年継続的な拡大を続けている市場だ。屋内トランクルーム事業を展開するキュラーズの調査によれば、日本のトランクルーム市場(屋内型・屋外型を含む)は2008年の調査開始以降、16年連続で成長しており、24年には市場規模が約850億円に到達した。さらに今後も堅調な成長が見込まれており、27年には1000億円規模に達する可能性があると予測されている。
24年度の全国のトランクルーム店舗数は1万4860店舗に達し、外食産業の代表的な業態であるファミリーレストランの店舗数(約1万店舗)を上回る規模となった。また全国のトランクルームの延べ室数は62万6418室と、統計開始以来最多を更新しているという。これらの数値は、トランクルームが一部の特殊なサービスではなく、日常生活を支えるインフラとして社会に浸透しつつあることを示している。

家の高騰による床面積減少
市場拡大の背景には、日本の住宅事情の変化がある。近年、都市部を中心に住宅の小型化が進んでおり、約20年前と比較すると1戸あたりの平均床面積は約20㎡減少している。特に都市部では土地価格の高騰や建設コストの上昇などの影響により、コンパクトな住戸の供給が増加。その結果、家庭内の収納スペース不足が顕在化し、住宅外に収納スペースを確保する手段としてトランクルームの需要が高まっているのだ。実際、屋内型トランクルームの約4割は東京23区に集中しており、都市生活者にとってトランクルームが重要な収納インフラとして機能していることがわかる。

居住スペースの縮小は都心部に限らず、郊外地域にも波及している。国土交通省の統計によれば、首都圏では約20年間で居住面積が約8㎡減少しており、住宅のコンパクト化が進行。従来は広い住居を確保しやすいとされていた郊外マンションにおいても、建設資材費や人件費の高騰により住宅の小型化が進んでいる。このような状況の中で、トランクルームは不足する収納スペースを補完する役割を果たしている。実際、東京近郊の埼玉県、千葉県、神奈川県横浜市・川崎市・厚木市などでは、08年と比較してトランクルーム店舗数が約3倍以上に増加しており、郊外地域でも需要が急速に拡大していることが示されている。

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少額から開始できるメリット
トランクルームには、コンテナを利用した屋外型と建物内にある屋内型の2タイプがある。
まず地主が屋外型のトランクルームを建築するメリットは主に三つある。一つ目は駅から遠い立地でも安定した経営ができること。二つ目は、変形地でも効率よく敷地を活用できること。そして三つ目は賃貸住宅と比較して少額投資で建築できることだ。
まず、立地については、トランクルームの利用客は近隣に住む人や企業が主に車で収納したい物を運ぶため、駅からの距離は関係ない。そのため賃貸住宅としてはマイナスの立地でも活用しやすい。ただし、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域は、良好な住居環境保護のため、原則として倉庫やトランクルームの建築ができないことは留意しておきたい。建物型トランクルームについては自治体によって店舗・事務所利用が可能なエリアであれば、建築できる場合もあるという。
次に地形。コンテナトランクは、1個あたり20フィートコンテナサイズが標準のため、どんな地形でも配置の融通が利く。さらに近年ではコンテナを2層にした2階建てのコンテナトランクも増えている。2階建てにすることで、狭い土地でも有効活用しやすくなる。
- ▲ランドピアが運営する2階建てトランクルーム ▶アパート1階の空きテナントを活用した事例
最後に投資費用については、少額投資で始めることができる。規模にもよるが、1000万円前後から始められる。しかも発注から設置までは約3カ月のため、事業を開始するハードルが低いといえる。
一方、賃貸住宅と異なる点としては、オープン後すぐに満室になりにくい点だ。業界的には約1年で満室を目指す事業者が多い。2年目以降の平均稼働率は85%程度という。ただし、一度利用すると長期で契約するケースも多いため、安定しやすい点がトランクルーム事業のメリットとして挙げられる。

築年数は関係なく貸せる
一方、屋内型トランクルームについては、既存の建物をトランクルーム化することで収益化を図れる。トランクルーム化するメリットしては、主に三つ。
一つ目は基本的に物品の保管に利用することが目的のため、建物そのものの築年数に左右されることがなく、古いビルでも活用できること。二つ目は、テナント部分を区分けして複数の利用者に貸し出すため、1テナントに貸し出すのに比べて収入がゼロになるリスクを回避できること。三つ目は、通常のテナント賃貸より改修費・メンテナンス費が抑えられること。
- ▲ランドピアの屋内型トランクルーム ▶キュラーズの最小サイズのトランクルーム
屋内型は、空調やセキュリティーなどの設備が充実しているケースが多いこともユーザーに好まれる理由だという。
米国では、トランクルームの世帯普及率が約10%あるのに対して、日本での普及率は約1%。さらなる市場規模の拡大が期待できるだろう。
利用者の生活満足度が向上
トランクルームの利用は生活の質にも影響を与えているという。利用者調査によると、トランクルーム利用後に生活満足度が向上したと回答した人は72.7%に上る。
満足度向上の理由としては「自宅が整理され広く感じるようになった」「収納スペースが整理され物の管理がしやすくなった」といった回答が多く、外部収納の利用により住環境の改善につながっていることが明らかになっている。また必要以上に広い住居に住む必要がなくなることで家賃などの居住費を抑えられる場合もあり、結果として生活費の削減につながるケースも確認されている。

(2026年5月号掲載)

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