2024年中に市外からの転入者数が転出者数を上回る転入超過となった札幌市や、半導体関連企業であるRapidus(ラピダス)の進出により賃貸需要が旺盛な千歳市など、賃貸市場が活況な北海道。一方で、賃貸経営で安定した収益を得るためには、競合物件の状況や賃貸ニーズの把握などが必要不可欠です。そこで、国土交通省の「建築着工統計調査報告・住宅着工統計」で、2024年に北海道エリアにおける貸家(賃貸住宅)の新築着工数をみることで、同エリアの賃貸市場の状況を探ります。
北海道で土地活用、賃貸住宅の新築着工数は前年比10%アップ

国土交通省では建築基準法に基づき、全国の建築物の建設の着工状況を明らかにするため建築主から都道府県知事に提出される建築工事届を集計し「建築動態統計調査」として毎月公表しています。その中で、特に新たに建築された住宅に関する調査結果をまとめたものが「住宅着工統計調査」です。
同調査結果によると、北海道エリアで24年に着工した賃貸住宅は1万7158戸となり、23年から10.5%の増加でした。利用関係別で前年から増加したのは賃貸住宅のみで、24年に着工した新築住宅のうちの約6割を占めました。
北海道で新築賃貸住宅による土地活用は、鉄筋コンクリート造が最多

北海道の24年の賃貸住宅着工数を構造別に見てみると、最多だったのは鉄筋コンクリート造で1万1797戸。全体の68.8%を占めました。次いで木造が5059戸(29.5%)と続き、以下は鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造、その他という結果でした。
冬の寒さが厳しい北海道ですが、凍結や温度差による劣化リスクを考慮した鉄筋コンクリート造は、耐久性・耐雪性・気密性に優れ、集合住宅や都市部の建築に適しているため、選択されやすいと考えられます。また、調湿性・通気性に優れた木材の特性に加え、高気密・高断熱の技術が進化してきたことで北海道でも木造が約3割を占めました。
北海道では、新築賃貸住宅の用途別は共同住宅が9割占める

次に用途別でも見てみたところ、共同住宅が1万5506戸でした。これは、北海道で24年に着工した賃貸住宅のうちの90.4%を占めています。長屋建ては1526戸(8.9%)、一戸建ては126戸(0.7%)に止まりました。
自然豊かで土地が広い北海道ですが、冬の寒さや積雪量の多さなど自然環境への対策が必要な地域でもあり、一戸建ての賃貸ニーズはそれほど多くはないようです。
北海道の新築賃貸住宅の傾向を知って、納得のいく賃貸住宅建築を
国交省の資料から、北海道では鉄筋コンクリート造の共同住宅が主流である様子が見て取れました。
近年転入超過が続く札幌市や、半導体関連企業であるRapidusの工場建設で賃貸需要が増している都市部を中心に、北海道では賃貸市場が好調です。比較的建築費用を抑えることができる木造で建てたり、多様なニーズに対応するためあえて一戸建て賃貸で差別化したりと、家主の選択肢は広がっているようです。
活用を考える土地のエリア的傾向をより詳細に把握し、納得のいく不動産投資を実現しましょう。
(2025年12月22日更新)

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