ゼロから8年でRC造マンションを新築

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区分投資からのステップアップ
ゼロから8年でRC造マンションを新築

田中哲オーナー(東京都板橋区)は、東京スカイツリーから徒歩圏内の東京都墨田区に10戸のRC造マンションを保有するほか、池袋から程近い場所にも6戸のアパートを保有する投資家だ。神奈川県横須賀市にも2戸の戸建てを持っている。これほどの資産を有しつつも、実は2017年までは不動産投資として物件購入をしたことがない、一介のサラリーマンだった。

田中哲オーナー(東京都板橋区)

スタートは区分6戸

 2000年代前半に新卒で入った会社は某大手企業のグループ会社であり、働く環境も良かった。給料も平均よりは良いのうだったという。元々貯蓄する習慣があり、必然的に資産運用にも自然と興味があったという。

 「人並みに株とかはやっていましたが全然成果は出なくて。『アベノミクス』相場の波で少しだけ資産は増えたのですが、微々たるものでした」(田中オーナー)

 株で資産運用を続けてきた田中オーナーだったが、不動産投資に踏み出すきっかけは16年の暮れに突然訪れた。

 「入社して間もない11年にマイホーム用の区分マンションを買った経験はありました。そこから不動産には漠然と興味はあって、新聞の折り込み広告として毎週入っている区分マンションのチラシは、何となくいつも見ていました。そのおかげで相場の雰囲気はつかめていたのかもしれません。そうしたら急に、住んでいる場所の近くに『えっ、これは安い』といった物件が出てきて。見つけた瞬間に電話して、その日に内見もして買い付けを入れました」(田中オーナー)

 同物件は板橋区内の区分マンションで、値段は800万円だった。利回りは約7%と、今の区分マンション相場から考えると高水準だったという。

 「なんとなくこれだと思いました。株を解約したお金も含めた総資産の約8割を使用し、現金でこの最初の区分マンションを購入しました」(田中オーナー)

 こうして1戸目の区分物件を購入したのが17年1月。この物件の購入により賃料収入が安定して入ってくる感覚に、これまでの投資よりも手ごたえを感じた田中オーナーは、不動産投資に真剣に取り組もうと決意した。不動産投資について学ぶため、収益物件を扱う企業の説明や不動産投資セミナーに多く参加し、学びを深めた。同時に物件のリサーチを怠らず、買い増しの機会も探し続けた。概ねの目安として、都内で駅から徒歩10分以内、築30年は超えないでなるべく築浅、バス・トイレ別、20㎡以上。勉強した知識も踏まえ条件を絞っていった。

 その結果、東京都練馬区の駅徒歩7分・1340万円の1K、東京都杉並区の駅徒歩10分・870万円のワンルーム、東京都豊島区の駅徒歩5分・1500万円の1Kなど、合わせて6戸の物件を購入。それらを最初の物件を購入した17年1月から18年夏までの約1年半の期間で購入していった。資金については、2戸目は投資家の定番ともいえるオリックス銀行からの融資だが、3戸目~6戸目は地方銀行や信用金庫からの融資を受けた。この区分マンションでの総借入額は約6000万円に上ったが、この6戸の区分が後に大事な資金源になる。

 「1戸目を現金で買ったことで、その実績とサラリーマンの属性の組み合わせで銀行の融資がつきやすかったのしれません。また当時は積極的だった金融機関からの融資もあり、時代も味方をしてくれたかと思います。途中で現金購入した1戸目を共同担保にいれたり工夫しながら、短期間で一気に買い進めることができました」(田中オーナー)

▲東京スカイツリーの近くに建てた念願のRCマンション

築古戸建てでリフォームを学ぶ

 20年になると、周囲のDIYの盛り上がりもあり、田中オーナーは築古戸建て投資に挑戦した。登録していた不動産会社からの情報配信の中で、神奈川県横須賀市の戸建てを見つけた。京浜急行電鉄本線汐入駅から徒歩10分で、坂の上に立地する物件だ。これを20年9月に300万円で購入し、そこからは友人の職人とともに、週末は物件に通ってDIYで物件をリフォームしていく日々が続いた。リフォーム費用は約180万円で、購入額と合わせて480万円。すると工事中の段階から問い合わせをくれていた障がい者グループホーム運営会社の入居が賃料8万円で決まり、利回り20%の物件として仕上がった。現在まで借り続けてくれているという。

 また、同じグループホーム運営会社から相談があった。
 「事業所を増やしたくて、同エリアで借りられる物件を探しているとグループホームの人から相談がきました。同時期に同じ横須賀の田浦で状態の良い戸建てが出たのですが、心理的瑕疵(かし)がネックになる物件でした。そこで、グループホームの担当者にこの物件を購入しリフォームしたら借りてくれるかを事前に聞いたところ、心理的瑕疵は気にせず借りてくれると答えてくれました。これを聞いて、2戸目の築古戸建てにも挑戦することにしました」(田中オーナー)

 田浦駅から徒歩10分ほどの築33年の戸建てで、車も玄関前まで横付けできる好立地だった。21年3月に400万円で購入し、DIYでコストを抑えて160万円で修繕して夏には完成させた。購入・リフォーム費用の合計560万円に対し、賃料は14万円での貸し出しが決まり利回り30%を達成。こちらも現在まで貸し続けているという。

▲築古でもDIYで見違えるほどきれいになる

実家の相続問題 

 築古戸建ての取り組みと同時期、田中オーナーは生まれ育った板橋区にある土地の相続も発生した。権利関係の調整に苦労しながら、元々の土地を二つに分筆する形になりつつも、駅から徒歩圏内に約140㎡の土地を確保。今度はこの土地の活用法を検討する段階になった。

 これまでは既存物件を取得してきたが、新たに建てることは田中オーナーにとって初めての経験だ。

 「建物を建てるにあたって、想像よりもはるかに規制が多いことを学びました。複数のアパートの建築メーカーに話を聞きましたが、『このプランがいい』と思っても、いざ調査してみるとどこかで規制にひっかかる。結果、自分が想像した規模の建物が建てられないということばかりで、法規制を知っておくことの重要さを痛感する日々でした」(田中オーナー)

 最終的には旭化成(東京都千代田区)のヘーベルハウスで、重量鉄骨造3階建てのマンションを建てた。利回りを最大まで求めるたびに規制にひっかかり建てられないという経験を繰り返した結果、とにかく建てることを優先し、利回りは二の次になってしまったという。結果的に、1階が事務所・店舗の2戸で、2階と3階はそれぞれ1Kと1LDKが1戸ずつの合計6戸の物件が22年1月に竣工した。満室賃料が月約70万円になったという。土地はすでに所有していたため、上物だけの取得費用に対して利回り自体は8%前後と、決して高いとはいえないと田中オーナーはいう。しかし、ここでの新築の経験も次のRCにつながっていく。

▲ヘーベルハウスで建てた重量鉄骨造の新築

新築RCへの挑戦

 21年の後半ごろから、新築RC造マンションの建築を考えていたという田中オーナー。

 「建物の王様はRCだと思いますので、夢でしたね」と田中オーナーは話すが、実際に建てるまでには苦労も多かった。建設用地を取得するために情報を集める日々だったが、買い付けを入れても購入できないという経験が続いた。結果的に8回目の買い付けで墨田区にある、東武スカイツリーライン押上駅から徒歩10分の約92㎡の土地を購入できたという。ここに、容積率いっぱいに建築することで、30㎡の1LDK10戸のマンションを建てるプランで、その費用は約3億円に上った。利回りは6%を迎える想定だ。

 ここで大きな課題は自己資金だった。融資の際にどうしても2割ほどの自己資金を求められるが、億単位の金額になるRC物件での2割は相当な額だ。ここで活躍したのが最初に購入してきた区分マンションだった。RCを建てる際に相応の自己資金を求められると理解していた田中オーナーは、これらを23年の間にすべて売却した。返済が進んでいたことやそもそもの物件価格の上昇も相まって、3000万円ほど、の現金が手元に残ったという。そこに、他物件からの収益や貯蓄を合わせ、およそ6000万円を用意することができた。このほぼ全額を自己資金として投入することで、押上の新築RC計画がスタート。25年4月末に竣工後、順調に経営は進んでるという。

 「ゼロから8年でRC造マンションを新築するところまできました。同時に、これまで家族にもいろいろと負担をかけてきました。今後は少し落ち着いて、みんなで旅行したりする時間をもっとつくっていきながら、次を考えていきたいと思います」(田中オーナー)

(2026年2月号掲載)

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