参入から15年、リフォーム前提で物件を増やす

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2011年に参入してから15年 リフォーム前提の購入で物件を増やす

 齋藤文彦オーナー(宮城県石巻市)は宮城県内と岩手県に、55棟307戸を所有している。アパレル業界で働いていた齋藤オーナーが不動産投資の世界に足を踏み入れたのは、2011年、31歳の時だ。

齋藤文彦オーナー(宮城県石巻市)

 当時の齋藤オーナーはその3年前、28歳で離婚したため独り身。結婚していた時期からの借金を抱えた状態で、返済のため、まずは家計の見直しをし、完済後も貯金を増やしつつアパレルの仕事で努力を重ねた。

 「とはいえ必死で頑張っていると、その仕事での収入に上限があることに気が付きます。そんな中、雑誌を見て『不動産投資をすれば自分もお金を稼げるのではないか』と思い立ちました」(齋藤オーナー)

 初めて購入したのは全12戸中6戸が空室の中古木造アパート。満室想定では利回り27%の物件だった。齋藤オーナーは「あの頃は無知だったから手を出せた案件です」と振り返る。

 この物件は引き渡し直前に入居していた6戸中2戸が退去してしまい、購入直後から手出しが発生してしまった。そのうえ、150万円を想定していたリフォーム費用が最終的に500万円まで膨らんでしまうなど、初心者の齋藤オーナーは中古物件投資の洗礼を受けることになった。

リフォーム後の室内

 しかし、当時は東日本大震災の発生直後で、東北の賃貸住宅需要が非常に高かったのが幸いした。結局、空室のリフォームを行い購入の1年後には満室にすることができた。これは齋藤オーナーの想定よりもかなり早かったという。初めての不動産投資に手応えを感じ、本格的に不賃貸経営に乗り出していった。

専業家主を目指して一念発起

 そして、少しずつ不動産経営の経験を積み15年、齋藤オーナーは勤めていた会社を退職し、専業オーナーになった。本業の上司が代わり「仕事を辞めたい」という思いが強くなったことがきっかけだったという。

 「新しい上司とはそりが合わなくて『仕事を辞めるにはいくら必要なのだろう。そのためにあとどのくらい物件が必要だろう』と考え、融資を受けられそうな物件があればどんどん購入し、賃貸経営を拡大させていきました」(齋藤オーナー)

 退職の4年後、19年に「家主と地主(現・地主と家主)」の取材を受けている。当時は16棟126戸を所有していた。

 

 「専業オーナーにはなれたものの、あの頃はまだ一棟一棟増やすのに必死だったことを覚えています」と振り返る齋藤オーナー。今回取材した25年までに実に39棟も増やしている。規模が大きくなった現在では、投資や経営の方針が定まってきたという。

リフォーム前提の物件購入

 齋藤オーナーが購入する物件は築古の集合住宅が中心だ。入居者によるトラブルが発生していたり、敷地内が雑草だらけになっていたり、時には柱や配管に欠陥がある物件も購入する。もちろん、購入に至るまでにはしっかりとした下調べと準備を行う。

 地域の賃料相場を調べ、賃料だけでなく、どこまでの修繕が必要か把握するようにしている。中古物件を中心に経営を行ってきた経験を生かして判断するという。また修繕に必要な資材は可能な範囲で自ら仕入れ、費用を削減する。

 一方で、リフォームの施工はプロに任せ、仕入れの節約も職人の損にならない範囲にとどめると決めている。

 リフォーム現場では予定外の追加工事が発生しやすいことを理解して、追加費用も含め「払うべきものは払う」というのが信条だ。大規模な賃貸経営を行っているため、施工を依頼する相手もチームの一員と捉え、チーム全体に利益があるよう施工計画を行う。

リフォーム中の室内の様子

 物件価格は、工事費用などを抜いて利回り20%を目指す。多少の幅はあるものの、リフォーム費用分の予算を確保し、施工費がかさんでも利回りを確保できる数字だ。

 「ここまで物件を増やせたのはそれを第一に考えて、出費を恐れずに目の前の案件に集中してきたからです」と語る齋藤オーナー。間もなく賃貸経営を始めて15年になる。

 これまでは積極的な借り入れを行い、規模を拡大することに集中してきた。今後は、純資産を増やすことを意識し、短期の融資と売却を合わせて資本と負債のバランスシートを整えていくつもりだという。

(2026年 2月号掲載)

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