<<人脈と世界が広がる馬主道>>
第2回:不動産オーナーと馬の親和性
驚くほど似ている不動産と馬の世界
税金の仕組みや人間関係に多くの共通点あり
不動産経営と馬主活動。一見すると全く別の世界のように見えるが、実はこの二つは驚くほど共通点が多い。「不動産オーナーは馬主になりやすい」と断言することができるほど親和性が高いと考えている。私自身も不動産から馬の世界に入った一人だが、両方を経験して初めて気付く「構造の一致」が数多くある。今回はその核心を深掘りしていきたい。

北海道新ひだか町で生まれたラルスフェイス2024号
馬主には不動産オーナーが多い 不動産も馬もストック型資産
競馬場に行けばわかるが、馬主の中には不動産オーナーが本当に多い。これは単なる偶然ではなく、構造が似ているから参入しやすいという、明確な理由がある。
一つは、不動産も馬も「ストック型資産」であるという点。入れ替えや売却があるとはいえ、買った瞬間に終わりではなく、長期的に育て、維持し、価値を上げていく。馬はレースで走り、勝ち、賞金を稼ぎ、引退後は繁殖馬となり、新たな資産を生み続ける。これはアパートが家賃収入を生み、売却益や相続対策としての価値を持ち続ける構造に非常に近い。
もう一つの理由は、馬主として必要な「安定した収入がある」「確定申告をしている」「継続的に経営している」という条件が、不動産オーナーには自然にそろっている点だ。特に地方競馬の馬主資格は取得しやすく、私も2015年に地方競馬からスタートした。

税金の構造に共通点あり 参入へのハードル低い
不動産オーナーにとって馬主活動を理解しやすい最大の理由が「税」の構造である。不動産経営と馬主活動を比較すると、共通点が明確に見える。
特に大きいのは「減価償却」である。馬は4年で償却できるため、不動産のように長期ではなく、比較的短期間で経費化が進む。これについては後の連載で深く解説するが、不動産オーナーにとって非常に理解しやすい仕組みだ。
また馬の引退時に発生する「特別損失」は、不動産の除却損と極めて近い考え方で、不動産経営者なら一度聞けばすぐに意味がわかるだろう。
多くの人との関わりが必須 行動と人柄が評価される
馬主の大きな魅力の一つが「人間関係がクローズドで濃い」ことにある。生産者、調教師、騎手、厩務きゅうむ員、オーナー仲間といった、馬に関わる人たちの間には独特の文化と深い信頼関係があり、一般のビジネスでは得られないネットワークが広がっていく。
これは家主同士のコミュニティーや建築士、工務店、管理会社と密な関係構築に慣れている不動産オーナーにとって、とても入りやすい環境だ。いいオーナーは、いい牧場や厩舎に歓迎される。反対に横柄なオーナーはすぐにうわさが回って活動しにくくなる。まさに不動産の世界と同じで「行動と人柄が評価として返ってくる」場所なのだ。
▲さまざまな人が関わる競走馬の育成。不動産事業と同じく、密な人間関係の構築がオーナーとしての活動しやすさにつながる
馬主仲間の人脈広がる ビジネスにつながるケースも
意外に思うかもしれないが、馬主になってから不動産の相談が増えた。馬主仲間には経営者が多く、節税や資産形成の話題が非常に多い。馬主ネットワークからは質の高い紹介が生まれやすく、私自身も紹介により複数の事業を手がけることになった。
馬主活動は、ただの趣味ではなく「価値の高い人脈形成装置」であり、ビジネスのレベルを引き上げる働きもあるといえる。これは不動産オーナーにとって、最も大きなメリットの一つだ。

競馬は歴史ある「文化事業」 地域貢献にもつながる
それに加えて馬主活動は、ビットコインのような新興市場とは異なり、数百年続く「文化事業」である。歴史のある競馬は、伝統、ルール、制度がしっかり整備されており、不動産と同じく「長く続いているからこそ安心することができる」産業だ。
その中でも地方競馬は、自治体が運営する公営競技であり、地域産業としての役割も大きい。ここに参加することは、実は「地方創生・地域貢献」にも直結する。不動産オーナーにとっては、社会的意義がある投資でもあるのだ。
馬主としての素質備える 不動産オーナーにおすすめ
不動産の構造が理解できる人は、馬主活動も必ず理解できる。税務の考え方、資産の性質、人間関係、長期的な視点の四つが共通しているからだ。
だからこそ私は、不動産オーナーこそ馬主に向いていると確信している。

(2026年4月号掲載)






