税金を抑える ~経費の勘違い! 経費はどこまで認められる?~
Knees bee(ニーズビー)税理士法人
(東京都千代田区)
解説 代表 渡邊浩滋税理士・司法書士
危機的状況であった実家の賃貸経営を引き継ぎ、立て直した経験から2011年開業。18年大家さん専門税理士ネットワークを設立し、全国の家主を救うべく活動中。22年法人化。「賃貸住宅フェア」などでの講演も多数。
キャッシュフローを改善するためには、①収入を上げる②支出を下げる③税金を抑える、この三つしかありません。
前回に続き、③の税金を抑える方法を解説していきます。
経費の中で最も判断が難しいのが、家事関連費です。家事関連費とは、プライベートと事業の両方にまたがる支出です。
経費にする要件として、①業務遂行上、直接必要である②業務に使ったことが明らかに区分できる、この両方を満たした場合に、区分した金額を経費にできます。その中でも、認められやすいものと、認められにくいものがあります。
認められやすい家事関連費
●家賃(持ち家の場合は減価償却費)や水道光熱費など自宅費用(一部事務所使用)
●車両代のうち、ガソリン代、保険料、減価償却費(一部事業使用)
●プライベート兼用の携帯電話代、インターネット費用などの通信費
自動車の費用や通信費などは、実際にどのくらい事業で使っているかによって、その分を経費にすることができます。本来は、使用履歴や運行記録などで区分することが望ましいですが、金額が僅少であればそこまで調べることは求められません。
気を付けたいのが、自宅費用です。自宅の場合、全体のうち1室など、区切られた部分の面積の割合で案分が必要です。リビング、キッチン、トイレなど、事業用部分が明確にならない部分は入れられません。
自宅リビングの面積分を経費にした納税者が敗訴した裁判例(東京地裁・平成25年10月17日)があります。裁判所は、「建物の構造上、住宅の一部を居住用部分と事業用部分とに明確に区分することができる状態にないことは明らかである」ということから、必要経費にはならないと判断しました。
認められにくい家事関連費
以下のものは、絶対に経費にならないとはいえないけれども、事業で使用していることが疑わしく、それを明確に証明できない限り、経費計上は難しいものです。
●スーツなどの被服代
●バッグなどの服飾雑貨
●眼鏡、腕時計などの装飾品
例えば、金融機関から融資を受けるために、もうかっているように見せる目的で高級腕時計を購入した費用が、経費になるかどうかを検証してみると、左表に示したような結論になる可能性が高いです。
プライベートで使用できるもの(洋服、かばんなど)は、経費にすることは難しいと覚えておいてください。
(2024年5月号掲載)
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