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<<築30年超えでも賃料アップ 賃貸リノベ解体新書>>
築38年の2DKをワンルームに大胆チェンジ
「趣味を満喫できる自由空間」で家賃アップ
埼玉県川口市にある木造アパート「清宮荘」。築38年のいかにも「昔ながらの木造賃貸」が、大胆に再生された。対象となったのは2DKの一室。以前から「家賃が上がらず、入居付けも難しい」という問題を抱えていた。リノベーションを行ったのは、日設(埼玉県川口市)の佐藤友彦社長。オーナーの「今後5年以上は安定して運営したい。だからこそ、リフォーム費用を多少かけてでも入居を促進したい」という希望に応える形で建物に手を加えていった。


掲げられたコンセプトは「趣味を満喫できる自由空間」。ターゲットは「独身、30代以上で夢中になる趣味がある人」を想定した。2DKをワンルームにつくり変え、空間の広がりと使いやすさを両立させた。入居者が自身で棚やパーテーションなどを用いて自由に空間を仕切ることができるような〝余白〟のある設計を目指した。
また、旧来の使い勝手の悪さを改善するために工夫したのが水回り。コンパクトなキッチンを採用し位置も動かすことで、玄関横に空間を創出。洗濯機置き場を屋外から屋内に変更した。それと同時に、キッチン収納棚と照明を一体化させ、デザイン性にも配慮した。
内装は、建具の木目部分を白く塗装したため、そこに調和するグレー系とネイビーのクロスで統一感を演出。さらに収納のふすまも撤去しオープン収納にすることで、扉の新規交換を避け、費用も抑えた。
工事費用は約220万円。これでも元々の壁が状態の悪い砂壁だったため、ベニヤ板で補強したうえで施工しており、値段が少し高くなっているという。
以前の募集家賃は5万2000円だったが、完成後は6万2000円で入居者が決まった。入居の決め手は、自由設計のコンセプトと部屋の広さだったという。投資回収期間は約2年10カ月だ。

1:キッチン上の収納も扉などはつけず費用を抑えた。見せる収納として空間の広がりを演出した
2:玄関横に室内洗濯機置き場を設置するため、キッチンを移動させた
3:バランス釜の浴槽を一新。壁も塗装で費用を抑えつつ清潔感を出した
4 :元は砂壁だったところにベニヤ板を貼り補強。そのうえでグレーのクロスを貼った
5 :扉交換費用などオープン収納を採用し、コストを抑えた

施工会社
日設(埼玉県川口市)
佐藤友彦社長

(2025年9月号掲載)
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