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- 150坪の自宅を女性専用シェアハウスへ ―ステイセーフ西片
<<Regeneration ~建物再生物語~>>
150坪の自宅を女性専用シェアハウスへ
築40年の戸建てから生み出す安定収益
ステイセーフ西片
東京都文京区、名門の区立誠之小学校裏手にある閑静な住宅街。ここに立つ地下1階を含む木造2階建てで構成されたシェアハウス「ステイセーフ西片」が今回の舞台だ。
元々は同シェアハウスを運営するオフィスエム(東京都千代田区)の田上睦深社長の実家であり、土地約150坪、建物は7LDKと広い戸建て住宅だった。しかし、両親の高齢化に伴い、2階を使わなくなり、その広さを持て余したという。
オフィスエム(東京都千代田区)
田上睦深社長
- ▲東京都心ながら、閑静な住宅街に位置する
そこで2012年にまずは戸建て賃貸として貸し出しを始めた。名門小学校に近いという理由で、子どもがいる4人家族の入居が決まり、当時の賃料は月45万円だった。家を空けるため両親が外部に借りたマンションの家賃を差し引くと、実質的な収入は約25万円だ。
しかし「学区の人気が高く、借り手には困りませんでしたが、一つの世帯への一括貸しでは安定収益という点で限界がありました」と田上社長は言う。そこで新たに、建て替え、またはサービス付き高齢者向け住宅かシェアハウスでの運用を検討した。「周囲にアパートが多く、同じような建物だと差別化できないと思いました。すでに借り入れもあり、無理な建て替えより堅実なリノベーションを選びました」(田上社長)

そして、築40年を迎えた19年、約3000万円を投じてリノベを実施。1年の工事期間を経た20年11月に女性専用シェアハウスとしてステイセーフ西片は開業した。
7LDKという元々の部屋数を生かし、各部屋を個室化して居住スペースをつくった。家全体は白で統一。「白は汚れが目立つ分、清掃が行き届きやすい。定期清掃の際に状態をすぐ確認することができます」と田上社長は話す。また共用ごみ箱は設けず「各自が自分のごみを管理する」規則を徹底。傘立てや靴箱も区画を明確に分け、共有スペースの混乱を防いだ。
- Before
- After
▲リビングにはキッチンや冷蔵庫を完備。冷蔵庫は運用開始後に要望に合わせて2台に増設した
- Before
- After
▲2階廊下。クロスに加え、床やドアなども白基調に統一した
さらに、図らずも新型コロナウイルスの感染拡大が起こったことで、共用部の混雑緩和のため予約システムを自社開発。運営母体でもあるオフィスエムがIT(情報技術)ベンダーとして培ったノウハウを生かし、スマートフォンから簡単に利用の予約ができる仕組みを整えた。
現在は定員9人のシェアハウスとして稼働しており、満室での月収は約62万円、年間収入は750万円前後。また当初の広いリビングを分割したうえで玄関を増設し、両親が住むワンルームの部屋を作成。外に家を借りる出費も抑えられ、以前に比べて収益性は2.5倍に向上した。
築古戸建てを「持て余し資産」から「収益資産」へと転換した。「築古でも工夫すれば資産になる。建物の『寿命』は、使い方次第です」(田上社長)
- ▲各部屋のカギは電子錠を採用。鍵交換など経費や手間の削減に寄与している
- ▲各居室には必要充分な設備がある。在宅ワークも快適にこなすことが可能だ
(2025年12月号掲載)

150坪の自宅を女性専用シェアハウスへ ―ステイセーフ西片
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入居者とイメージを絞り部屋をデザイン



