カシワバラ・コーポレーション
屋上・外壁修繕の独自商品を開発

 大規模修繕工事を手がけるカシワバラ・コーポレーション(東京都港区)は、長期の耐用年数を持つオリジナル施工商品の開発に取り組む。物件を長く大切に所有したいオーナーに、高品質・長寿命の施工を提供することを目指す。

カシワバラ・コーポレーション(東京都港区)
ビルディングメンテナンス
事業戦略本部 事業・技術開発部 山本大地部長(56)

高品質と長寿命が特徴 屋上防水・タイル剥落防止

 オリジナル施工商品のコンセプトは「高品質・長寿命」だ。
 第1号は屋上防水工法「Kプラスルーフガード30」で、2021年に販売を開始した。ポリオレフィン樹脂を主成分とする防水シートを既存の防水層の上に施工する。防水シートの厚みは類似品を0・2㎜から0・5㎜ほど上回る2㎜として、防水機能と耐用性を向上させ、30年の長期保証を実現した。

 費用は通常の屋上のシート防水の1・5倍ほどだが、従来は15年に1度ほど行う必要があった防水工事を1回飛ばせるため、長期的には費用を抑えることができる。

 24年2月から提供を開始したのが、タイル剝落防止工法「Kプラスタイルプロテクト」だ。外壁タイルの修繕の際に、ポリウレア樹脂製の塗料を塗布する。ポリウレア樹脂は防弾チョッキやロケットの発射台にも使われる素材で、外壁の表面に強靭(きょうじん)な塗膜をつくることができる。

 期待耐用年数は25年と長寿命でありながら、タイルの張り替えや接着剤の注入、シーリングの打ち替えが不要で、施工は容易だ。
 同社では従来、外壁タイル修繕時に、メーカー製の塗膜を使用していた。しかし、今回メーカーとタイアップしてオリジナルの塗膜を開発したことで材料費が低下。オーナーに対して、従来よりも低価格で提供できるようになった。

 オリジナル施工商品の開発を開始した理由を、ビルディングメンテナンス事業戦略本部事業・技術開発部の山本大地部長は「建材費や人件費の高騰で工事費用は10年前の2倍ほどになっており、価格競争をしても生き残れません。高品質・長寿命の施工という付加価値を提供することで、差別化を図ろうと考えました」と語る。

大規模修繕の実績7100棟超 中小型物件への提案強化

 カシワバラ・コーポレーションは、全国67カ所に拠点を構え、累計7000棟以上のマンションの大規模修繕工事を行ってきた実績を持つ。
 修繕工事の対象は規模の大きい分譲マンションが中心だが、近年は30戸以下程度の中小型物件の工事案件も増えている。

 分譲だけでなく賃貸のマンション工事の受注も増加傾向だ。同社では賃貸も含めた中小型マンション物件のマーケットをさらに開拓するために23年に専門部署を立ち上げ工事提案に注力している。23年の賃貸住宅の施工実績はリノベーションを含め30棟強だ。RC造の10戸から30戸規模の物件への施工が多いという。

 今後は賃貸住宅のオーナーにも、オリジナル施工商品の提案を行っていく。「高品質・長寿命の施工商品は、機能面だけでなく長期的には費用面でもメリットがあります。建物を長く大切に使いたいオーナーに提供を進めていきたいと考えています」(山本部長)

(2024年8月号掲載)

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