国際特許を取得した特殊構造を採用
躯体工事費用の大幅削減で坪単価90万円
千葉県を中心に建築事業、不動産事業などを手がける万葉建設(千葉県八千代市)は、国際特許を取得した特殊構造を用いたマンションシリーズ「フォアリーブス」事業を新たにスタートした。
万葉建設(千葉県八千代市)
佐々木俊一社長

同社が採用した構造は「新RC特殊構造(特殊薄肉ラーメン構造)」。ゼネコンの現場監督を務めた経験を持つ佐々木俊一社長は「特殊薄肉ラーメン構造は通常のラーメン構造より工程を合理化しやすく、コストも削減できます」と話す。
従来の柱と梁をつなぐ枠組みで建物全体を支えるラーメン構造は、上の階に比べて下の階の柱や梁のほうが太いことが多い。階により構造体のサイズが異なる造りは、複雑な構造計算と熟練した技術が求められる。
それに対して決められた縦・横・高さのブロックを積み上げていくイメージの特殊薄肉ラーメン構造の施工は、合理化しやすい。さらに柱と梁の幅を薄くする一方で壁は厚くすることで、より広い室内空間と高い耐震性を確保できるという。

▲現在建築中の特殊薄肉ラーメン構造によるRC造マンション
一般的な新築RC造マンションを建設する際、躯体工事費は建築費のおよそ35%と大きな割合を占める。効率よく施工できる特殊薄肉ラーメン構造は、工期の短縮にもつながるため、建築費を約6割近く削減することが可能だ。佐々木社長によると、新築のRC造マンションの坪単価が通常150万円程度のところ、同構造で建てると90万~120万円程度で済むという。銀行から融資が受けやすい点も同構造を取り入れるメリットだといえるだろう。
また室内に柱や梁が飛び出すことなく、構造体となっている壁もないことから間取り変更がしやすいのも魅力だ。単身者向けのワンルームの部屋を複数戸合わせて、ファミリー向けや店舗へつくり変えることも容易になる。
同社はこれまで、一般木造住宅のほか、障がい者向けなどの福祉施設や工場・倉庫などを手がけてきた。「2~3年ほど前からマンションを建てたい人からの依頼が増えてきました」と佐々木社長は話す。建築費が高くて今まで諦めていた賃貸マンションの建設や土地活用を可能にするフォアリーブス事業。現在は、複数の依頼案件を進めているという。「2026年度の同事業の売り上げ目標は20億~30億円です。いずれは事業の一つの柱としたいです」(佐々木社長)
(2025年10月号掲載)