タケウチビユーテー
遊休地や駐車場を使ったセルフ洗車場経営
洗車機の製造・販売を行うタケウチビユーテー(名古屋市)は、洗車場を使った土地活用の提案を行っている。常駐スタッフを必要としないシステムで、コインランドリーに併設した店舗など立地に応じたプランにも特徴を持つ。
無人の洗車場提案 洗車難民に対応
セルフ洗車場は、洗車機を設置し、無人で運営する洗車場だ。利用料金はメニューによって異なるが500円から2000円程度。同社の直営店の場合、平均1400円前後だ。
セルフ洗車場は土地の面積が200坪程度あると、洗車の後にゆっくりメンテナンスを行うスペースを設けることができ、利用者に好まれるという。洗車機の費用は、約800万円から1500万円。そのほかに、消耗品を収納する倉庫の設置、排水の工事費用がかかる。800万円の洗車機を購入した場合の初期費用は、合計2000万円程度が目安だ。ランニングコストは洗剤代や水道代などの変動費で、売り上げの約15%。
月間の洗車台数が1000台、売上高は約80万円の場合、自己所有の土地を利用して運営すると、投資利回りは27%程度が見込まれ、概ね3年7カ月で回収できる計算となる。
稼働率向上の工夫 ランドリー併設店舗も
▲岐阜県岐南町にあるKOMACHIに設置された洗車機
タケウチビユーテーは、1963年に移動式ブラシ付き門型自動洗車機「カービュウティシャン」を開発した。それ以来、世界20カ国で累計12万台の洗車機を販売してきた。車1台分のスペースで洗車を自動で行うことができる門型洗車機は、現在、日本の洗車機の中で主流の商品となっている。
これまで洗車機が設置されるのはガソリンスタンドが多かった。しかし、車の燃費向上やEV(電気自動車)の増加などによりガソリンスタンドが減少。その結果、洗車ができる場所が減っており、洗車をする場所に困る利用者が増えている。そのため、セルフ洗車場を求めるニーズは年々増加している。
最近では、コインランドリーや貸し倉庫などに併設して、セットで開業するケースも増えているという。
「洗車場は晴れの日に利用者が多く、雨の日は少ない。反対にコインランドリーは雨の日の利用が多く、晴れの日の利用者が少ない。この二つを一緒に経営することで、天候に左右されずに稼働率の高い店舗を運営することが可能だ」(髙野泰家取締役)
岐阜県岐南町にある直営店舗「KOMACHI(コマチ)」は、コインランドリーを併設したセルフ洗車場。地元の人たちが利用する生活道路に面した、約300坪の店舗だ。コインランドリー客の利用も取り込むことで、洗車場単体の月間の売り上げは100万円を超えるという。
同社では今後、セルフ洗車場運営をフランチャイズチェーン(FC)展開していきたい考えだ。髙野取締役は「立地やニーズに合わせたさまざまな形態のセルフ洗車場経営の提供を検討している。土地活用しながら、洗車難民を減らすことができる洗車場の経営を提案していきたい」と話す。
(2024年9月号掲載)
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