【特集】飼育ニーズ拡大中 ペット 共生物件④おすすめアイテム

賃貸経営空室対策

おすすめのアイテム4選

 スマートホームからインテリア素材、新しい消臭法まで、編集部が注目したペット共生に役立つアイテムを紹介する。

IOTで外から見守り

アクセルラボ

 インターネットを経由し、外出先からでもスマートフォンのアプリを使って、自宅内の家電や住宅設備を操作することができるスマートホームサービス「SpaceCore(スペース・コア)を提供するアクセルラボ(東京都新宿区)。21年から、ペット共生賃貸住宅向けにも手がけ、これまで1都3県を中心に約430社の採用実績がある。この1年間でも採用社数が約100社伸びた。

 例えば、家で留守番をするペットを、室内カメラが映し出した映像を通じてスマホで確認したり、室内の温度や照度を検知するセンサーからの知らせを受けて、ペットが快適に過ごせるようにエアコンや照明を操作したりすることが可能だ。

 同社の大嘉田千尋取締役CFOは「スマートホームはペットの見守りニーズと相性が良く、IoT設備がないペット可物件と差別化できるものとして、家主や入居者に受け入れられています」と語る。

 導入費用の例は、室内カメラやスマートリモコン、室内環境を検知するセンサーをはじめ、5~6個の機器をそろえた場合で、1戸あたり10万~15万円。導入後は「元々の家賃が10万円前後の物件だと、15~20%の家賃増額に成功している例もあります」(大嘉田取締役CFO)という。

▲さまざまな設備とつながるSpaceCore

 

足音軽減する耐水性防音マット 

ピアリビング

 賃貸住宅向け防音商品を販売するピアリビング(福岡市)は24年2月から、耐水仕様の防音フロアマット「ReFace Tile(リフェイスタイル)」を販売している。

 洗面所や台所の床の防音ニーズに応えて発売したが、介護施設や保育園、ペット共生型賃貸住宅向けにも勧めている。

 商品は、クッション性のある軽量芯材を使い、厚みが12㎜で、足音や物音などの振動音を軽減する。ペットが走り回る音にも効果を発揮する。裏面に粘着シートを付属しており、接着剤を使わずに床に直接貼り付けることが可能だ。貼り付け後は、マット自体のズレもなく、ペットも安心してマット上を駆けることができるという。

▲ReFace Tileを敷いたイメージ

 同社の原田春香取締役は「東京都や神奈川県の商業施設内に期間限定で出店した際、ペットの足音に悩む人の来場が多く、反応は上々でした」と語る。

 サイズは45㎝×45㎝で、グレーとベージュの2色。カッターで切断もしやすい。価格は1枚4620円(税込み)で、購入枚数に応じて単価が安くなる。10枚だと3万3000円(税込み)。「入居者への販売がメインですが、関心がある家主や不動産会社からの相談にも応じます」(原田取締役)

 

アイロンで貼る消臭フィルム 

メモリーズ

 これまでに2000件以上の遺品整理、特殊清掃を手がけてきたメモリーズ(堺市)には、ペットの臭いの消臭・脱臭の依頼も舞い込む。

 このほど、熱を加えると縮むシュリンクフィルムにヒントを得て、臭いが染み込んだ壁や床の基礎部分にアイロンで焼き付けて貼る消臭フィルムの開発に成功した。「オドロック」の商品名で25年1月に販売を開始する予定だ。

▲アイロンで貼り付いていくオドロック 

 「フィルムが薄すぎると強度が弱く、厚すぎると熱が伝わらずに付着しにくくなるため、適切な厚さや強度を求めて、約3年間試行錯誤しました」と語る横尾将臣社長。

 フィルムは2層構造で、下層は熱で溶けて付着、上層で臭いを遮断する仕組みにした。アイロンが当てられるように平らであれば、コンクリートにも石こうボードにも貼ることができる。「臭う箇所に貼ることで、臭いを封じ込めることができます」(横尾社長)

 施工が簡単で時間もかからないのが特徴。臭いが染み付いた基礎部分を取り換えるといった工事が必要ないため、原状回復費用を抑えることもできる。事前に基礎部分に貼っておけば、その後の臭い発生の予防にもなる。

 費用は30㎝×25m巻きで6万円ほどになる予定。現在、特許出願中でもある。

引っかき傷に強い壁紙 

サンゲツ

△スーパー耐久性の構造(画像提供/サンゲツ)

 インテリア総合大手のサンゲツ(名古屋市)は、03年から販売する耐久性に優れたロングセラーの壁紙「スーパー耐久性」をペット対応商品としても売り出している。

 表面を傷や汚れに強い「エバールフィルム」と呼ばれる層で覆っているのが特徴で、内側の塩化ビニール樹脂層も硬く加工して、より耐久性を上げた。

 業界団体の壁紙工業会(東京都港区)が規定する表面強化壁紙の約6倍の表面強度を持つ。また臭い成分をはじいて吸着しにくい構造になっているため、同社レジデンシャルユニット企画開発担当ディレクターの熊沢篤氏は「壁紙自体に臭いがつくことはありません」と話す。これらの性能を有するため、ペットによる引っかき傷や臭いに強い。

 標準価格は92㎝×1mで1100円(税込み)。広く流通している同社の壁紙「SP」シリーズと比べると価格は割高だが、長く持つのだという。

 ペット向けには消臭や傷つきにくさのニーズが高まっていると同社は捉えており、24年11月から、床材や壁紙のうち、ペット向けにも訴求できるものを集めた専用のウェブサイトを開設している。(「エバール」は大手化学メーカーのクラレ(東京都千代田区)のエチレン-ビニールアルコール共重合樹脂の登録商標)

(2025年1月号掲載)

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