二拠点経営でリスクの分散と回避を意識

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福島と東京の二拠点経営 リスクの分散と回避を意識

 桜田佳哉オーナー(福島県郡山市)は、福島県郡山市に4棟24戸のアパートと戸建て賃貸を4戸、東京都に3棟13戸のアパートを所有する。

 賃貸経営を始めたきっかけは、当時勤めていた大手電機メーカーで実施された早期希望退職者の募集だ。その中で、同期の出世頭から退職していることに気付いたという。そこで自分自身も会社を辞めても良い状況をつくるべく、収入源の確保を目指した。

桜田佳哉オーナー(福島県郡山市)

 2006年に郡山市内の大学のそばにあった中古アパートを1棟購入した。この物件は大学の目の前という立地のため、多少家賃を高く設定しても入居が決まりやすい。これを足掛かりに、同市内で4棟のアパートを購入。経営が軌道に乗ったことで08年、早期希望退職を経て専業家主になった。49歳の時だ。

東日本大震災経てリスク分散

 ところが、わずか3年後の2011年、東日本大震災が発生した。福島県では原子力発電所の事故の影響が大きく「このままでは福島には人が住めなくなってしまうかもしれない」と危機感を抱いた。

 しかし、会社はすでに退職しており、新築のアパートを建てたローンもある。そこで、遠隔地に物件を保有することでリスクを分散させることを思い付いた。

 東京では、インターチェンジが近く、東北からのアクセスが良好な物件を中心に購入した。いずれも20㎡以上の物件で、一定の需要を確保している。

 福島と東京の2拠点による賃貸経営は順調に推移し、25年には東京都渋谷区に新たに1棟を購入。商店街のある街並みに以前から魅力を感じており、東京進出時からの憧れの場所でもあった。

 桜田オーナーは「郡山市内の物件はローンを完済しましたし、安いものは現金購入しています。ほぼ満室の郡山の物件でインカムゲインを稼ぎ、東京の物件は売却を視野に入れつつ資産価値を育て、キャピタルゲインを得るつもりです」と話す。

 万が一、南海トラフ地震や首都直下地震が発生したときは郡山市の物件で、地方衰退による人口減少が進んだ場合には東京の物件で収入を得られる環境を整えた。大手企業での大規模リストラや東日本大震災を経験してきたことで、常にリスクの分散とその回避を意識して経営を行うようになったという。

▲郡山市内に所有するアパート

年金受給見据え経営方針転換

 桜田オーナーは現在64歳。今後は、70歳での年金受給を見据えて、経営方針の転換を考えている。郡山市内に所有する物件のうち、古い物件や手間のかかる物件は売却し、悠々自適の生活を目指す考えだ。

 さまざまな困難に直面しながらも柔軟に対応してきた桜田オーナーの賃貸経営は、今後もより良い形に変化していきそうだ。

(2025年8月号掲載)

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