ギリシャ・アテネの不動産事情
不動産価格は欧州最安水準
ギリシャの首都アテネは古代都市国家に由来し、パルテノン神殿やアクロポリス博物館などを擁する唯一無二の観光都市です。アテネの外港ピレウスには、サントリーニ島、ミコノス島などのエーゲ海の島々を巡るクルーズ船が発着し、その船旅は世界的に高い人気があります。これらの観光事業は、海運事業や農業、鉱業と共にギリシャ経済を支える柱となっています。

ギリシャの総人口は1000万人余りですが、3分の1を超える400万人弱が、アテネ都市圏に集中しています。そのアテネでは都市交通を支える公共交通網が四通八達。日本のJRに似た位置付けのヘレニック鉄道や、アテネ地下鉄、市バス、トロリーバスなどが整備されています。アテネ市街地からアテネ国際空港、ピレウス港へも複数のアクセス方法があります。
ギリシャは2008年の欧州経済危機で甚大な影響を受けた国の一つです。経済が崩壊し、マイナス成長が長く続きました。その後18年ごろには底を打ち、現在は回復途上にあります。
アテネの不動産の平均価格は欧州では最安水準です。1㎡あたりの価格は2478ユーロ(約41万円)。60㎡のアパートメントで平均15万ユーロ(約2400万円)と、決して高くありません。ただそれでもコロナ禍であった21年ごろに比べると、30%以上、上昇しています。
もっとも、地域による格差は大きいです。60㎡で平均15万ユーロとはいっても、アテネの都心部でその価格で買える物件はめったにありません。
アテネ中心地より10㎞ほど離れたピレウス港周辺になると、15万ユーロ前後の物件は比較的多くなります。

エーゲ海への玄関口であるピレウス港
25万ユーロで居住許可取得
13年より、ギリシャ政府は外国人富裕層向けに「ゴールデンビザ」を発給しています。これは一定額以上の不動産を購入した外国人に永住権を与える制度です。ギリシャでは、国内で25万ユーロ(約4100万円)以上の不動産物件を購入し、諸条件を満たす外国人に対して、5年間のギリシャ居住許可が与えられます。さらに、このビザで5年間居住した後には、市民権を申請することが可能です。
ギリシャはシェンゲン協定(加盟国間を出入国審査なしで行き来できる)の加盟国なので、ギリシャをゲートウェイとして、同協定に加盟する欧州29カ国への渡航が自由になります。
なお25万ユーロ以上というのは欧州最安水準です。現時点では最も安価にヨーロッパの居住許可を取得することができるということになります。
アジア太平洋大家の会
代表 鈴木 学

[PROFILE] 海外不動産に精通し、6カ国語を操るアナリスト。国際不動産エージェントの取締役としても多数のセミナーを主催する。自身も6カ国で物件を所有し、投資・経営を行うグローバル家主。
(2025年 9月号掲載)






