地元オーナー発信―大阪市と対照的な周辺部(大阪)

賃貸経営トレンド

大阪| 活況を呈する大阪市と対照的な周辺部

加藤 薫オーナー

 5月1日時点の大阪市の推計人口は約280万人で、府全体の約32%を占めています。4月中の転入と転出による人口変動では、純増が8100人に達しました。特に中央区や北区、西区など、大型商業施設やターミナル駅周辺の再開発が進むエリアでは、通勤利便性や商業、文化、医療インフラの充実が進み、多様な層の需要を強く喚起しています。

 これに対し、同市を除いた大阪府全体の人口推移を見ると純増が3175人となり、増加数が大阪市の4割以下にとどまります。特に大阪府の南側の地域では、高齢化率の上昇や若年世代の転出傾向が顕著です。教育機関や就業機会が限られ、自動車中心の交通網では通勤・通学負担が大きく、若年層の定着が進みにくい状況といえます。また地価下落や新築・リノベーション着工の減少も相まって、住宅需要が大都市近接エリアに一極集中する構造が鮮明化しています。

 再開発やインフラ整備が進む「大阪市内中心部」と、就業、学びの機会やインフラ投資が相対的に乏しい「周辺部」の対比が、大阪府内における人口や住宅需要の二極化の要因となっています。家主にとっても、この二極化を踏まえた判断と運営戦略がより一層求められる時代になってきました。

(2025年 9月号掲載)

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