札幌|インフレで建築計画の変更が増加中
外村真美オーナー

昨今のインフレや建築資材費の高騰により、予定していた建築計画の変更を余儀なくされるプロジェクトが増加中です。
不動産事業を展開するエスコン(東京都港区)は、北広島市の「北海道ボールパークFビレッジ」内で、シンガポールに拠点を置く高級ホテルチェーン「バンヤン・グループ」のホテル建設を手がけています。しかし、開業時期が2027年3月から秋にずれ込み、オープンが遅れる可能性が出てきました。また北海道医療大学は、キャンパスの移転を28年に予定していましたが、その時期について再検討しているようです。
札幌市内の賃貸市場では、特に新築物件において案件化したものの、竣工時期が不透明な場合が多く、金融機関の金利上昇も相まって厳しい状況が続いています。インフレ対応力に企業の体力差が生まれ、建築計画の変更が相次ぐのではないでしょうか。
企業として体力があれば、周囲が逡巡する中で今が攻め時でしょう。そこまでの体力がない場合は、現在保有する物件の満室維持のための施策や、インフレを背景とした家賃の値上げや金利交渉など条件面で資金計画に余裕を持たせるなど、マーケットでの自社の立ち位置を俯瞰して行動することが必要なフェーズだと感じています。
(2025年12月号掲載)






