<<著者インタビュー>>
AI 時代を勝ち抜く大家さんの賃貸経営術
~LINE×ITツール×思考転換で築く新しい入居者関係と自主管理の極意
実際の運用事例と共にツールを紹介
信頼性と即時性で業務を効率化
――出版に至った経緯を教えてください。
2023年秋、参加した不動産関連のセミナーで「LINE」公式アカウントの活用法という話題が出ました。私も22年に導入してからのを30秒ほど紹介したのですが、時間が足りず魅力を伝え切れませんでした。そこで勉強会を開くようになり、その活動が広がっていく中で出版社の紹介を受け本書の出版を決めました。
――LINE公式アカウントを使うメリットは何でしょうか。
入居者と個人のLINEアカウントでやりとりをするのは、オーナーも入居者も少し抵抗がありますよね。公式アカウントなら仕事の窓口として信頼性があります。自動応答や一斉配信ができるのも便利。LINEは普及率が高く、入居者が新しいアプリを入れる必要がないことも大きなポイントです。
――実際に業務が楽になったエピソードはありますか。
例えば設備が壊れた時、入居者に動画を送ってもらい、現地に行かなくてもリアルタイムで状況を正確に把握して修理を手配することができました。入居者も部屋に他人を入れずに済み、お互いにメリットがあります。そのほか、火災保険の更新確認や解約通知を写真やデータなどで受け取れるようになり、書類郵送の手間がなくなったのも大きな変化です。
――LINE以外のIT活用についても教えてください。
文書共有やアンケートなどのクラウドサービスとの連携はとても便利です。「入居のしおり」をクラウドに置いておき、公式LINEのメニューから入居者がすぐ見られるようにしています。また生成AI(人工知能)も活用していて、案内文や規約のひな型をつくるのに役立っています。
――IoT設備の導入についてはどう考えていますか。
物件の規模や入居者層によって必要な設備は変わります。まずはオーナーが設備の仕組みを理解した状態で、自分で必要性を判断して導入することが大切ですね。
――これからIT活用を行うなら何から始めるべきですか。
まずは入居者とのコミュニケーションに利用すべきです。アカウントを開設し、身近な人とのやりとりで試してみて実際の運用につなげていく。若い入居者ほどやりとりのデジタル化を望んでいるので、導入は必ずプラスになります。
著者プロフィール
原健司(はら・けんじ)

1968年、兵庫県尼崎市生まれ。91年関西大学工学部卒業後、就職。その後、家業と不動産賃貸事業を手伝うようになる。家業の廃業に伴い専業家主となり、現在は尼崎市内で4棟の集合住宅を自主管理で経営している。家主仲間を対象に、賃貸経営に関わるIT情報技術の勉強会を主催。賃貸不動産経営管理士、宅地建物取引士。
AI時代を勝ち抜く大家さんの賃貸経営術
~LINE×ITツール×思考転換で築く新しい入居者関係と自主管理の極意

著者:原健司
出版社:セルバ出版
価格:1980円(税込み)
概要
同書では、LINE公式アカウントの活用を中心に、生成AIやクラウド、IoTなど賃貸管理における最新のIT活用事例を体系的に紹介している。著者からの運用経験から語られる活用法や実例は、自主管理オーナーのみならず、管理委託オーナーや管理会社にとっても役立つ実務的な内容となっている。
(2025年12月号掲載)






