不動産投資を「人のために」の軸に移す

賃貸経営ストーリー

<<不動産で変わった私の人生>>

収入の不安から始めた投資 今は「人のために」を軸にする

 北海道と千葉県そして海外に夫婦で9棟52戸を所有する菅沼幸治オーナーは、賃貸事業を開始して25年余りになる。そのきっかけとなったのは、不慮の事故だった。1995年、会社員として北海道へ赴任した折、腰の骨を折る大けがをして3カ月半の入院生活を余儀なくされたのだ。

菅沼幸治オーナー(千葉県)

 「今後、会社員を続けられなくなるのではないかと思いました」(菅沼オーナー)

 仮に、仕事ができなくなった場合は別の収入が必要だ。入院中に、さまざまな本を読む中で目に留まったのが不動産投資だった。これだと思った菅沼オーナーは、退院後も不動産投資について学んだ。99年に融資を得て札幌市内に鉄骨造マンションを3500万円で購入。10戸中6戸が空室という難しい条件だったが、仲介の営業担当者の協力の下リノベーションを施した。

 2003年には同市に新築RC造マンションを竣工した。7戸の賃貸物件で利回りは10%弱。ニューヨークのソーホー地区をイメージし、エントランスにレンガを用いたり、共用部にアメリカのポップアートを飾ったりした。

 赴任が終了した07年、かつて住んでいた千葉県に舞い戻った。自宅近くの物件の購入を試みるも、北海道と比較すると利回りなどの条件が悪い。なかなか購入に踏み切れない中、10年末にようやくアパートを購入。しかし、仕事や子育てのタイミングもあり、不動産の購入はしばらくストップした。

人の人生に関わる賃貸事業

 所有物件を大きく増やさず、一つ一つと向き合ってきたことで、ここ15年ほどでは不動産に対する思いが変わってきた。「単にお金を稼ぐ手法ではなく、そこには人の生活がある」という思いが強くなってきたのだ。

 そう感じたのは、緊急入院した入居者の退去に向けて部屋の整理に立ち会っている時だった。入居者が笑顔でグライダーに乗っている写真を見て、その人の幸せな瞬間と入院という現状との落差が胸に迫ってきたのだという。

 「思わず涙が出てしまいました。そして、家主業は人の人生に関わる仕事だということをひしひしと感じました」(菅沼オーナー)

 北海道の物件であっても入居者と面談を行う機会を設け、家主も入居者も安心できる賃貸経営を目指している。「先日は、配偶者に先立たれた高齢入居者に会ってきました。どのような見守りをすれば、住み慣れた物件で変わらない生活を送ってもらえるのか考えたいです」(菅沼オーナー)

 それと同時に、DIYでリフォームをしたり、植栽を整えたりして、入居者が暮らしを楽しめる物件づくりにも励んでいる。

 「住んでいる人の幸せにつながるような賃貸経営をしていきたいです」(菅沼オーナー)

▲DIYでは自分の趣味を反映しながら物件づくりを楽しむ

(2026年2月号)

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