どうなる2026年の不動産投資

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<<セミナーレポート>>

どうなる2026年の不動産投資金利上昇とインフレの影響

アセットビルド(東京都千代田区)は2月14日、東京国際フォーラムにて「2026年の不動産投資」と題したセミナーを開催。同社代表の猪俣淳氏が登壇し、約50名の不動産投資家が参加した。

アセットビルド(東京都千代田区)
猪俣淳代表取締役

 

 

金利上昇による返済額アップ 4つの検討ポイントは

 セミナー前半では金利上昇で返済額が年48万円(月4万円)の増額になった相談者の事例を紹介した。

 10年前に9800万円で購入した8戸のアパートの当初の家賃は年655万円(月6・8万円/戸)だった。

 検討したのは①運営費②賃料③借り換え④所得税の4つ。

 まず管理会社の変更などで年30万円の運営費を圧縮。そして、6・9万〜7・2万円設定だった7戸をすべて相場賃料の7・9万円に増額したことで72万円の収入増になった。

 9800万円→7060万円、1・675%→2・85%、期間30年→20年、年間返済額416万円→464万円と変化した融資だが、残債+借り換えコスト=7260万円を年利2%、期間20年で他銀行に借り換え、返済増を年48万円→年24万円に圧縮した。そのため“年48万円の収入減”が「30万円(運営費減)+72万円(賃料増)ー24万円(返済増)」と、“年78万円の収入増”という結果に。

 金利を上昇させるインフレは同時に賃料上昇の要因となる点、購入時の借り入れは返済が進み(事例では10年で2740万円)担保枠ができるうえに、借り換え金額も残債+借り換えコストで収まり銀行のハードルが下がる点、また金利は経費化できるので金利上昇による返済増額は所得税額を押し下げるという点について解説した。

▲熱心に耳を傾ける参加者ら

高市政権の方針による影響 インフレ時の不動産投資

 後半は高市政権の施策方針が不動産投資に与えるポジティブ要因(治安回復、景気拡大、所得増加)とネガティブ要因(金利上昇、中国需要、人手不足)について触れた。

 インフレ時における不動産投資については、デフレ時の投資との比較で解説をおこなった。インフレ時には物件価格が上昇し利回りが低下する傾向がある一方、家賃も上がる点を指摘。仮に1億円・利回り7%(家賃700万円/年)で買えるデフレ局面では家賃低下と売却時の値下がりが懸念される。一方、同様の物件が利回り5%(家賃500万円/年)となるインフレ局面では家賃上昇と売却時の値上がりが期待される。

 この2つのケースを、運営キャッシュフローと売却手取りの合計が最初の投下資本と同額になる割引率である内部収益率(IRR)で比較すると、表面利回り7%のデフレ時の投資はIRR3・6%で、表面利回り5%のインフレ時の投資のIRRが6・5%と逆転すると解説した。

 最後に2026年の不動産投資について、①東京一極集中が周辺地域へ波及、②賃料上昇による取得後の利回り改善、③インフレマインドの浸透による賃料増額受諾可能性アップ、④建築コスト上昇継続による物件の大規模化と低賃料単価エリアの売り物増、⑤金利上昇の影響は小さい(都市部のみ)、⑥金融機関の投資家属性選別(現金があると強い)、⑦政府による投資と減税により第2の高度経済成長が始まる、と7つの傾向を予想した。

「不動産市場の4象限モデル」とは?

 猪俣氏は、2026年の不動産投資をウィートンの不動産市場4象限モデルを使って解説した。
 1.在庫と賃料、2.賃料と価格、3.価格と着工、4.着工と在庫という4象限の相関関係により不動産市場の変化を予測するモデルで、それぞれに変動を生じさせ、かつ次の象限に影響を与える要因を持つ。現在のインフレ局面は「在庫に変化がなくても賃料を上昇させる」そして、「賃料が上昇すると価格が上がるうえに将来的な賃料上昇への期待は期待利回りを低下させ、さらに価格を押し上げる」。しかし「インフレは同時に建築コストを押し上げ、価格上昇しているのにも関わらず着工数を減少させる」。そこで「在庫が減ってさらに賃料が上がるところだが、着工数の減少を超える人口流出がある地域では在庫が増えてインフレ下にもかかわらず賃料増加の恩恵を受けられない。また、人口流入がある地域であれば在庫減少・賃料増加という好循環が加速する」という相関関係だ。
 猪俣氏はこのモデルを踏まえ、地域による二極化はさらに拡大する傾向にあり、不動産投資家は自身の投資の現状とポートフォリオの見直しを行う必要があると指摘した。

■ ウィートンの不動産市場の長期均衡4象限モデル

※猪俣氏提供のセミナー資料を基に地主と家主で作成

 

(2026年5月号掲載)

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