ヴァンガードスミス 入居者間トラブルの解決をサポート
近隣トラブルの解決支援サービスを提供するヴァンガードスミス(東京都港区)は、マンションやアパートにおける入居者間のトラブルに、管理会社に代わり対応する「mamorocca(マモロッカ)」を展開している。
ヴァンガードスミス
(東京都港区)田中慶太社長(43)
元警察官が相談受け付け収束まで一貫して対応
「入居者間で起こる騒音問題や迷惑行為などに関する相談を、元警察官である相談員が受け付けから収束まで支援するサービスです。相談者とトラブル相手の双方から事実確認のヒアリングを行い、収束に向けたアドバイスをしたり、必要に応じて現地に訪問し、当事者に直接是正を促したりしています」。
同社では相談者の感情に注目して対応するノウハウを確立しており、トラブルへの対応のプロである相談員が中立的な視点で収束に向けたアドバイスを入居者にする。収束後も、経過観察や必要に応じて現地訪問を行うことでトラブルの再燃化を防ぐ。
同社の調べによると近隣トラブルを経験したことのある人の6割が生活音や騒音によるものだという。また、近隣トラブルが原因で引っ越しをした人も2割以上いるとのこと。管理会社に相談をしても当事者同士の話し合いを促されたり、10年以上未解決のままというケースもあり、根本的な解決に至らないことが多い。
「管理会社は近隣トラブルへの対応のプロではありません。トラブルの対応の初手の動きを間違ってしまうことで、長期化して入居者と管理会社が苦しんでしまう。適切な対応によりトラブルの収束につなげています」。現在まで約4万件のトラブルを収束させており、管理会社に案件を戻したことは一度もないという。
▲相談員が対応している様子
防犯インフラとしてサービスの普及を目指す
同社の田中慶太社長も元警察官だ。困っている人を助けることを志し、北海道警察に入るが、業務範囲の広さや多さゆえに刑法違反に当たらない相談に手厚い対応ができず、もどかしい思いをしたという。「警視庁の発表では2023年には約230万件の相談が警察にありました。
警察は事件性の高いものから優先的に対応するしかないのが現状です」。民間企業のほうが自分のやりたいことができるのではないかと15年に起業し、mamoroccaの提供を開始した。
「『クレーム産業』とも言われる賃貸業界においては、さまざまな要因でトラブルの件数は今後も増えていくと考えます。当社のサービスが普及することで、トラブルを事件化させない世の中を目指していきます」 同サービスは月額制となり、着手金や成功報酬などの費用はかからない。不法侵入を理由とする被害で生じた損害やセキュリティー対策費用、鍵交換費用などが発生した際、費用の一部を負担する保険付き商品となっている。
24年2月末時点で約900社の管理会社で導入され、利用登録者の数は約134万人。23年7月よりカスタマーハラスメント対策に特化した「Pサポ+for Business(フォービジネス)」の提供も開始している。
(2024年5月号掲載)
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