第3回 認知症発症のリスクと予防法
メタボ対策が発症予防につながる
不動産オーナーも、認知症とは無縁ではありません。認知症は万人に等しく発症する可能性があるからです。とりわけ、不動産オーナーが認知症を発症すると、周囲にとても大きな影響を及ぼすことになります。
何とか認知症にならない方法はないものでしょうか。残念ながら、認知症を完全に予防できる方法はありません。しかし、認知症になりにくくすることは十分に可能です。認知症の予防法を考えてみましょう。
メタボから発症しやすい
メタボリックシンドローム(メタボ)をご存じでしょうか。メタボは、肥満をベースにして高脂血症、糖尿病、高血圧などを合併した状態です。メタボの人は身体的に不健康であるだけでなく、実は認知症にもなりやすいことが知られています。メタボの人は血管が傷んでいることが多く、脳血管性認知症を発症しやすいようです。
一方、アミロイドβ(ベータ)という物質が脳にたまって発症するアルツハイマー型認知症はどうでしょうか。一見すると無関係そうですが、メタボの人はアルツハイマー型認知症も発症しやすいです。認知症を発症するリスクが健常者の3倍以上になるといわれているので、メタボには注意が必要でしょう。
予防のためのポイント
認知症の予防法を考えるうえで、メタボ対策が重要な役割を果たします。認知症を発症しにくくするためには、次の三つのポイントを押さえましょう。
- 適度な運動
- 適切な食事
- 社会活動への参加
一つ目に適度な運動として、1日30分以上歩くことが推奨されています。自宅の近くに所有物件があれば、自分で見回るのも認知症の予防に有効でしょう。
二つ目は食事です。野菜や魚を食べる人は認知症を発症しにくいといわれています。また、メタボ予防も兼ねて、腹八分目を心がけましょう。アルコールもほどほどにするのが良いようです。
三つ目には、人とのつながりを維持することが、認知症予防には大切です。地域の活動に参加するのはもちろんのこと、物件の入居者との交流も認知症の予防に有効だと思われます。
解説
メディカルコンサルティング
(京都市) 濱口裕之代表医師兼CEO
[プロフィール]
1996年京都府立医科大学卒業。医師が代表を務める法律事務所向け医療顧問業としては業界最大手のメディカルコンサルティングにおいて、140人の各科専門医と年間1000例の事案に取り組んでいる。「日経メディカル」で「濱口裕之の『治療だけで終わらせない交通事故診療』」を連載中。相続関係では、資産家向けに遺言能力鑑定を提供している。
(2024年5月号掲載)
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