My賃貸経営スタイル:デザイン性重視で人気物件に

土地活用賃貸住宅

町工場経営から始まる地主の道 デザイン性を重視して人気物件に

 東京都大田区にある東邦大学医学部キャンパス。そのすぐそばに、ひときわ目立つ5階建ての賃貸併用住宅「パークアメニティ大森」がある。ガラス張りで太陽の光がさんさんと降り注ぐエレベーターホールには、観葉植物の緑が目に鮮やかだ。1階から4階部分が20戸の賃貸ワンルームマンション。現在、満室経営中だ。
 「この新築を建てる際に、3社のコンペを行いました。中でも、デザインが飛び抜けて良かった建築事務所に依頼しました」と話すのは、佐野裕之オーナー(東京都大田区)だ。大学のすぐそばということで、周辺にはすでにワンルームの競合物件が複数あった。そこで、木とコンクリートを融合させた、デザインが目を引く物件にしたのだ。「専有部の窓は大きく、サッシ部分にも木を用いているのが特徴です」(佐野オーナー)

佐野裕之オーナー(68)(東京都大田区)

 パークアメニティ大森の隣には、トランクルームとして貸し出している3階建て物件も所有している。その土地は、3代前の佐野春吉氏が戦前に町工場を建てた場所だ。
 60坪ほどの敷地には、旋盤を作る工場と住み込み職人向けの住まいがあった。オリンピック景気に後押しされて、事業拡大の折に旋盤工場を茨城県に移転。そこで、航空会社向けのサービス起業を考えた伯父の希望により、工場跡地には1、2階を倉庫、3階を自宅とした物件を建設した。
 「結論から言って、伯父の事業は失敗に終わりました」と苦笑する佐野オーナー。倉庫をそのままにしておくのはもったいないと、トランクルームとして賃貸に出したことが、佐野家の賃貸事業の始まりだ。
 長らく倉庫物件のみを貸していたが、祖父が亡くなった際に、倉庫の隣にある、自宅が立っていた45坪の敷地の有効活用を父親と共に考え始めた。当初、3階建て木造アパートの建築を考えていたが、裏手にあった45坪の敷地を購入しないかと提案を受けた。90坪の敷地に拡大されたことで、2007年、パークアメニティ大森の竣工につながった。

エリアにない物件を研究 新しい入居者呼び込む

 パークアメニティ大森の経営が安定してきたため、自分の代では倉庫物件の建て替えを視野に入れていきたいと佐野オーナーは話す。大学から近い立地だが、自社物件と競合になってしまうようなワンルームマンションではない、別のアイデアも模索中だ。
 「新築をするなら、エリアに少ないタイプの物件を作りたいです。小学校や児童館がすぐ近くにあるというメリットも考慮に入れながらプランを練っていきたいですね」と話す佐野オーナー。地域に新しい入居者層を呼び込める新築物件を手がけたいと考えている。
 「現在の賃貸事業があるのは、祖父から引き継いだ資産のおかげです。今後も感謝しながら、資産を大事に育てていきたいと思います」(佐野オーナー)

▲緑がまぶしいエレベーターホール

(2024年12月号掲載)
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