賃貸経営はチーム戦と考える いい関係づくりが導く満室経営
2014年に不動産投資を開始した相澤将太オーナー(仙台市)。中古アパートから始め、22年には新築も手がけた。現在は宮城県、福島県に14棟147戸まで規模を拡大。入居率は安定的に95%以上を維持しているという。
高校卒業後、飲食事業に従事し、雇われ店長をしていた相澤オーナーだが、26歳のときに、日本政策金融公庫から融資を受け、当時勤めていた店を買い取る形で独立した。ただ、飲食事業はいわゆる「水物」。自分でコントロールできないリスクが多く存在する事業を支えるもう1本の柱として、不動産投資を開始しようと勉強を始めた。
相澤将太オーナー(38)(仙台市)
所属していた家主予備軍の会の会員に紹介され、きらやか銀行に融資の相談に行ったが、資料も何も持参せずという状態だった。対応してくれた当時の支店長からは「今、相澤さんがやるべきことは、飲食事業にまい進して、売り上げを安定させることです。飲食事業の自己資本比率を20%までに引き上げたときに、融資できる物件を紹介しましょう」と言われた。
その言葉に鼓舞された相澤オーナーは、メニューの開発からリピート率を上げるための工夫まで、できることはすべて行った。飲食事業にまい進したことで見事目標である自己資本比率20%を2年で達成した。
目標達成を支店長に伝えたところ「よくやった」と約束どおり融資が受けられる物件を紹介してくれた。築26年、仙台市にある1棟6戸のその木造アパートを2400万円で購入した。「今は、その人も取締役となり『雲の上の存在』。話しかけることもできなくなりましたが、感謝してもしきれない恩人です」(相澤オーナー)
1棟目購入の8カ月後には、別荘地にある戸建て物件を紹介され格安で購入。また直近の新築物件は、駅から徒歩2分という好立地の長屋式8戸を懇意にしている不動産会社から紹介され取得した。
客といっても対等な立場 耳を傾けて相手の話を聞く
安定した賃貸経営につながる物件を購入できる理由の一つに、こうした「人との縁」が大きく関係していると相澤オーナーは考える。人と人との縁をつくるには「仲間意識」を持つことが大事だという。そして、そのためには、「時間の共有が重要だ」と話す。だからこそ相澤オーナーは、事業者とはゴルフや食事会など多くの時間を持つようにしている。
また相澤オーナーは「最終的に内見者を自分の物件に連れてきてくれるのは管理・仲介の担当者です。彼らの意見に耳を傾けることも大事でしょう」という。物件購入時、あるいは内装リフォーム時に、家主とは別の視点を取り入れるようにしている。
賃貸経営は家主と事業者たちとのチームプレーだ。「仲間と共に賃貸経営事業を最大化して、お互い利益を出すことのできるウィンウィンの関係を構築していきたいと思います」(相澤オーナー)
▲新築物件は1Kと1LDKの重層長屋だ
(2024年12月号掲載)
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